第60話

60
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2020/04/09 13:08
病室に初めて入ったその日。


体に戻れないかと何度か自分の体に触れようとした。


でも、触れようとした瞬間に


バチッと、大きな音を立てて俺を拒否する。


自分の体なのに。


もう一度生きて、あなたに自分の体で


会いに行きたいのに...。


毎日自分の体に触れるけど


全然ダメだった。












きっともう俺はこのまま死んでいくんだ。


死んでいると思っていた自分の体が見つかったのに。


大好きな人ができたのに...。


ウォヌのことは後悔していない。


友人を守れてよかったと思ってる。













でも、









今だけは少し憎いくらい。


あなたに触って、あなたと笑い合える


ウォヌが...。









でもきっと俺がいることがあなたを惑わすなら....。





















もう、お別れした方が、いいんだろう。











自分はどうなるか、分からないから。






















「忘れて」














そんなこと、本心じゃない。
















本当はずっとずっとあなたに会いたくて


たまらなくて


あなたが来てくれた時


夢でも見てるんじゃないかと思った。



でも、あなたの笑顔を見たら、


すごく独占したくなって


どうしようもなくて。










ずっとずっとそばにいて欲しい。


そう思う。









だからこそ、



早めにあなたには会わないようにしなきゃ。



未練ができるから。


















あなた

みんぎゅっ
















俺の名前を呼ぶあなたの顔は涙に濡れて、ぐちゃぐちゃで。


抱き締めたいのに抱き締められない自分がもどかしくて。





















あなたを病室から締め出した。













ごめんね、あなた。


















ミンギュ
ミンギュ
大好きだったよ.........っ...

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