翌日、私はミンギュの病室に行かなかった。
いや、ただしくは行けなかった。
仕事のプロジェクトでミスがあって徹夜で直しをしていたから。
スマホなんて見てる暇はない。
全部終わった頃には
ミンギュからのカトクと通話履歴でいっぱいだった。
---ミンギュ---
平日午後6時。
それが毎日あなたが病室に来る時間。
残業がある時はカトクが来る。
今は午後8時。
あなたからのカトクはない。
自分から送っても、返事はない。
電話をしても、出ない。
なんで?
仕事が忙しい...?
まさか事故....!?
もしかして......嫌われた...?
あなたとはたった2ヶ月の知り合いでしかないのに、そのたった2ヶ月が濃すぎて....
あなたのことになると一喜一憂してしまう自分がいる。
この気持ちは....。
あなた...あなた......あなた............
早く会いに来て...。
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なんでこんなにミンギュからカトクが来てるんだろう。
そう思ってカトクを開くと、送ったはずの
「残業で今日は行けない。ごめんね。」
この文章が書いただけで送信ボタンを押し忘れていた。
やばい...心配かけたかな...。
でももう既に疲労困憊な私はミンギュにカトクをするより先に睡魔に襲われてしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。