「ミンギュ」
ただ名前が同じだけ?
そんな偶然、ある?
この名前を聞いただけで
心臓がうるさいくらいに脈を打つ。
ヨヒさんは談話室を出て詰所に向かう。
ミンギュに、会えるかもしれない。
でも、出会ったミンギュは幽霊だった。
本人も
「自分は死んだ」
そう説明していた。
でもここで生きているとしたら...
なぜ幽霊になっているの?
ますますわからない。
ぼーっと考えながら飲み物を飲んでいると、ヨヒさんが戻ってくる。
そう言って、ヨヒさんと仲良く写真に写る男の子の画面を見せてくれた。
まだどこか幼い顔つきだけど
男らしい顔で
笑った時の八重歯
犬のような可愛らしい笑顔
左頬にあるホクロ
その全てが
私の知る、ミンギュだった。
その場に思わず泣き崩れた。
ヨヒさんはすごく驚いた顔をしていた。
いわく付きの家に引越しをしたこと
幽霊であるミンギュに出会って
一緒に生活したこと
かけがえのない存在となっていること
また、会いたいこと
全て、ヨヒさんに話をすると、
ヨヒさんもただ静かに涙を流していた...。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!