あれから先は、あまり覚えていない
何故消太君の周りが血塗れで、
なんで腕が変な方向に曲がっているのか
消太君の顔がよく見えなくて
何度も何度も名前を呼んだけれど、
消太君の声は途切れ途切れにしか聞こえなくて
この後私が、何をしたのか
どんな顔で 何を思って 動いたのか
何も、
覚えていない。
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目の前にある光景が、自分の目に映るもの全てが、
私には理解できなかった
怪物に目をやり
その後ろにいる白髪にも目をやる
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消太君に目をやる
さっきの白髪が何か言ってるけど、よく聞こえない
それより喉が渇いた。
...消太君の体の周りに沢山見えるけど、あれは消太君の血だよね?
血が沢山出てる、
やっぱり上に乗ってるヤツのせいだ
消太君が怪我、してる
怪物の目を見ながら
1歩ずつ、ソイツに近付いて行く
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もう怪物の目の前まで来てしまった
...でも、なぜかその怪物は固まった様に動かない
白髪はなんだか焦っている様子、
一向に動こうとしない怪物にムカついて
ソイツの体を少し押すと
後ろに勢いよくぶっ飛んだ
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!