第115話

六班:2
5,175
2021/05/06 16:17


《テンside》







夜の空気は気持いなあ





屋根の上を走り宙を舞う度に心地いい爽やかな風を切る


うまいでしょ、屋根走るの




これはねえ猫ちゃんたちを参考にした動き方。
ヤンヤンと一緒に研究して極めた







敵は見えないけど

絶対あそこ、あのボロい建物の裏に潜んでる





長年の勘と僕の感覚がそう言う






僕は迷うことなくその場所へ向かう

近くの建物から下を見てみると、ほらやっぱり。




5、6人の構成員が蠢いているのが見える








このビルは五階建てかあ。ならいけるね

















屋上の端にゆらりと立つと




そのまま頭から真っ逆さまに落ちる










地上に着く寸前で一回転し、着地ついでに敵を1人踏みつける

そしてすぐに反撃



敵は多い。ぼーっとしてる暇はない










攻撃が何層にもわたって続く

綺麗に連携も取れててみんな上手だけど

テン
テン
当たりっこないでしょ!



僕にとっては遅すぎる

相変わらず動きが止まって見えるよ...






僕はすれ違いざまに全員の腹に質量を込めた拳を入れる

振り返れば敵は地面に突っ伏している。

安心




僕は進路を切り返すとまた違う方向に向かう

今度はこっちから匂うの。








...あれ?なんだかすごい数が多いな
まあいいや。行ってみよ














そう思って走り、十字路の真ん中に出た瞬間















その十字の四方が敵によって塞がれた






数はものすごい多い
40くらいはいるかなあ






ひゃー、それにしてもこの数


テン
テン
素敵だね



流石に多いなあ四方から襲いかかってくるおかげで動く死角だらけ

いつも読んでる殺意も数が多すぎて逆にわかんないや






地上戦を避けて屋根に登る

それでもある程度の数はついてくる。
本気でやりにくいなあ




僕の攻撃の仕方とかめっちゃ分析されてるみたい

僕ってば嫌われすぎ!!!


まああれだけ路地裏で暴れてればそうなるよねえ






回避に反撃、カウンターを繰り返し徐々に後ろに後退する

もう一歩、後ろに下がろうとした瞬間







テン
テン
あっ




後ろに下がろうと踏んだ屋根が腐って崩れ落ちる






僕は真っ逆さまに落ちる







やば、上には武器を持ってる奴らが襲いかかってくるし

後ろ向きに落ちてるから地面までの距離がわかんない






どっちかを犠牲に回避はできるけど、どうせ痛いなあ




















そう思っている刹那


火の玉のような光が、落ちていく僕とすれ違った






上で武器を構えていた敵たちが頭から火を吹く









テン
テン
ジャニヒョン!!!!!


そう叫ぶとそのまま僕は柔らかいものの中に落ちる





ぱちっと目を開けてみると僕はお姫様抱っこみたいになってて
目の前にはジャニヒョンが僕を覗き込んでいる





僕は嬉しくってヒョンの胸に顔を擦り付ける
テン
テン
やっぱヒョンだあ!ヒョンかっこいい〜〜〜〜!!!
ジャニ
ジャニ
俺お前の戦い方嫌いだあああ!冷や冷やする!!!



ヒョンは眉にしわを寄せて
いかにも”嫌だからどうにかしてくれ”って感じの顔で抗議してくる




うわあそれにしてもヒョンの体って大きくてがっしりしててかっこいいなあ
すごい居心地いいし降りたくないや


抜群の安定感



ヒョンは僕を両手で抱えながら、片手で器用に弾を交換する
かっこいい〜!





テン
テン
ヒョン、テン降りたくない
ジャニ
ジャニ
ええ〜、戦わなきゃだよ
テン
テン
じゃあ終わったらまたやって?歩くのめんどくさいの
ジャニ
ジャニ
しょうがないなあ!
テン
テン
ヒャッハアアアァアア!!!!!





それなら早く終わらせないとね




と言うか、僕に援護がいるってすごい新鮮だなあ
いつも誰もついてこないから。




ジャニヒョンが頑張って僕についてきてくれたんだと思うと可愛いし嬉しい











さあ切り替えて。敵は目の前






僕らは目の前の敵に向かい合う

さっきは数が多いなと思っていたけど
ヒョンと一緒となればむしろ少ないほうだ









僕を先陣に飛びかかってくる敵の海に立ち向かう


その後ろでヒョンが高火力の攻撃を打ち込む












ヒョンはすごいな、、、





僕が自由に、どんだけ早く動いても

僕に当たらないようにしっかり微調節して弾道を調節してくれてるみたいだし
爆風も破片も僕に飛ばないように角度を調節してくれている


攻撃も僕の死角にいる敵を中心に排除してくれてるみたいだしすごくやりやすい。







攻撃を当てる場所もすごい

どこに当てれば二次災害、三次災害を引き起こして効率がいい殲滅ができるかをきちんと考えられているし

それに合わせて武器も変えるし、同じ武器でも火力や玉を変えてみたりとディティールまで考え抜かれてる














それにしても僕の動きを予想して見切れるなんて、このヒョンいつもは朗らかだけど実はとんでもない殺戮マシンだなあ






最後の敵を倒すと、あたりは一気に静まり返る



それまで聞こえていた怒号と悲鳴は消え

パチパチと燃える火の音と
僕ら2人が息を切らす音だけが聞こえる






僕はヒョンに飛びついてグータッチをする






ヒョンは屈託のない可愛い笑顔を向けながら

約束通り、僕を掬い上げると抱きしめてくれる







テン
テン
わーーー!特等席だあ、嬉しい!
ジャニ
ジャニ
俺はテンが無事で嬉しい〜
テン
テン
僕もヒョンが無事で嬉しい!
ジャニ
ジャニ
いやあ、お前ほんとに戦い方すごいな...
ビルから飛び降りた時本当に息止まったからな!
テン
テン
へへへ
ヒョン援護ありがとね
ジャニ
ジャニ
援護の時も冷や冷やしたよ何回か当てそうになったもん
テン
テン
え!?そうだったの??笑
ジャニ
ジャニ
うん、何回かヤッベーって思った
テン
テン
こっっっわああぁああ!




そう言うと僕らは顔を見合わせて笑い合う




いつもよりヒョンの笑顔が近くで見れて嬉しい

テン
テン
テン、ヒョンの笑顔好き
ジャニ
ジャニ
俺もテンの笑顔好きだよ、かわいい





そう言うとヒョンはまた笑顔になる



これからも、もっとその笑顔が見たいなあ














そう思いながら僕らはアジトに戻る












いつまで抱っこしてくれるんだろうと思って黙ってたら
結局アジトに帰るまでそのままだった




















さすがジャニヒョン!僕、ヒョンのこと大好き

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