第83話

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2021/04/11 05:25







ユウタside













カタカタカタと異常に早いタイピング音だけが響く部屋




ここはテヨンの仕事場











テヨンと、その横にジョンウが淡々と仕事をこなしているのを

俺は作戦資料を読みながら横目で見る










ジョンウ
ジョンウ
ヒョン、次の事案と改案の資料まとめきれました
テヨン
テヨン
ありがとねぇ〜じゃあ、もう配っちゃえる?
ジョンウ
ジョンウ
はい、ついでに説明も全部しときますよ
テヨン
テヨン
本当?じゃあ、よろしく





ジョンウは資料をパタパタまとめると
各部隊へ情報伝達に出かける


通信系機器は機密性が低くなるから重要なことはテヨンから、ジョンウを通して口頭で全体に伝えられるのだ





部屋から出る前にジョンウと目が合う



ジョンウはにっこり笑うと

ジョンウ
ジョンウ
ユウタァ!


甲高い声で俺を呼ぶ




………可愛いやっちゃ



ユウタ
ユウタ
ジョンウー!

僕がそう返事をすると満足そうに部屋を出ていった



これは最近俺らの間で流行ってるヤツ

















休みなくタイピング音が響く






…テヨン、いつ休んでるんやろ






ココ最近「ユウタは先に寝てて」と言われてばかりでこいつがちゃんと寝ている所を見ていない






今日は特に顔色も良くないし、表情も冴えない

ユウタ
ユウタ
なあ、テヨン
テヨン
テヨン
なあに〜?ユタ〜?
ユウタ
ユウタ
ちゃんと休んでる?
テヨン
テヨン
休んでるよん






俺と目を合わせない


…これは嘘ついてる時の仕草





テヨンは嘘つくのが下手だ










ユウタ
ユウタ
嘘つき
テヨン
テヨン
嘘じゃないもん





やっぱ目を見ない







テヨンはふう、と深呼吸すると


体を伸びをする








「お昼食べるかぁ」

そう呟きながら立ち上がった瞬間





























テヨンの体がグラッと傾いた











ユウタ
ユウタ
っつ!!!




反射で立ち上がり、間一髪床に倒れ込む前ギリギリで支える































テヨンは支えられた姿勢のまま動こうとしない











ほらみろ、限界なんやないか











長年の付き合い舐めんな




ユウタ
ユウタ
ほらみぃ…
テヨン
テヨン
…ごめん
ユウタ
ユウタ
どこか気分悪い所ある?
テヨン
テヨン
目眩がする…
ユウタ
ユウタ
もう今日は仕事辞めとき、分かった?






俺はドヨンに電話すると、テヨンをソファに寝かせる

テヨンの支持で仕事の引き継ぎをすると








テヨンを抱き上げて隣にある寝室に運ぶ













ドヨン
ドヨン
いらっしゃいませ💢




寝室では既に、ドヨンが半ギレで待機していた





ユウタ
ユウタ
こ、こんちゃす
テヨン
テヨン
ドヨ〜ン…
ドヨン
ドヨン
一体何回目だと思っていますか?
全くあなたって人は本当に…

はいここ寝てください

あ〜はいはい疲労ですね。ひ!ろ!う!
分かりますか?
ドヨン
ドヨン
上の立場で部下に負担をかけたくないのは分かりますけどもっと頼ってもいいと思いますよ?きっと部下たちもちょっとの残業ぐらい喜んでしますって。1人に負担がかかりすぎる組織なんていつか滅びますからトップである貴方が人に頼るということを手本として部下に見せるべきなのでは?まあ貴方以外にも疲労常連がいるんでそこの所貴方がちゃんとして頂ければ彼らだって…









機関銃みたいな小言を延々聞かされる












その通りだぞ、テヨン












その間も手は的確に動いているのが凄い








栄養剤を注射すると、全ての処置を終えたドヨンは立ち上がる






ドヨン
ドヨン
今日明日は仕事しないで寝といて下さい。
少しは休まれてもいいでしょう
ドヨン
ドヨン
ヒョン、ご自愛くださいね…
テヨン
テヨン
わかった、反省するよドヨン
ありがとね
ドヨン
ドヨン
分かったなら結構です!





ドヨンはテヨンのおでこをペチンと叩くと仕事に戻ってしまった








俺は横で、テヨンがしていた仕事の続きをする






テヨン
テヨン
ユタぁ
ユウタ
ユウタ
何?
テヨン
テヨン
こっち向いて
ユウタ
ユウタ
いやや
テヨン
テヨン
怒ってますか
ユウタ
ユウタ
怒ってますね
テヨン
テヨン
僕が倒れたからですか
ユウタ
ユウタ
違いますね
テヨン
テヨン
じゃあなんですか
ユウタ
ユウタ
テヨンが自分を大事にしないからですね
テヨン
テヨン
ごめんなさい
ユウタ
ユウタ
テヨン
テヨン
ごめん
ユウタ
ユウタ
やだ
テヨン
テヨン
ごめんってぇ…
ユウタ
ユウタ
…ちゃんと反省していますか
テヨン
テヨン
…してます
ユウタ
ユウタ
ちゃんと自分を大事にしますか
テヨン
テヨン
します



…許してあげよう






俺はベッドに移動すると傍に腰掛ける















閉じられた目からは長いまつ毛が花びらが咲いているみたいに生えていて


寝顔は彫刻が寝ているみたいに綺麗












テヨン
テヨン
よしよしねしてぇ
ユウタ
ユウタ
…今日だけやで
ユウタ
ユウタ
テヨンよしよしね〜
テヨン
テヨン
うふふふふ
ユウタ
ユウタ
なんやねん笑
テヨン
テヨン
うれしい〜






目を瞑ったまま微笑むテヨン





…かわいいな














そう思いながら見てると、テヨンがとろんと眠そうな目を開けて

両腕を広げてきた


テヨン
テヨン
きて



そう言われた瞬間、俺は何も考えずにテヨンの胸の中に顔を埋めていた







………………っ











これはズルいやろ………

















かわいすぎる…












テヨン
テヨン
ははは、ユタ顔真っ赤〜
ユウタ
ユウタ
うるさい




俺はテヨンに何か言われる前に、唇を唇で塞ぐ






ユウタ
ユウタ
はいテヨン顔真っ赤〜!
テヨン
テヨン
っなにすんだよ………
ユウタ
ユウタ
いやお前、前自分からやったがな
テヨン
テヨン
…うるさい






こうやってテヨンとじゃれるのも久しぶりだ







本当に幸せ












テヨンの体温と、匂いを肌で感じる








…なんかこうしてると









こいつと出会った頃のことを思い出す

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