そう言いながら僕ははキーボードを激しく叩く
報告書は山積みだし、電話は鳴り止まない
ヘチャンはそんな僕とは裏腹に、僕のデスクに方肘をついてガムを噛んでいる
僕はヘチャンに資料を投げるフリをする
いたずらっ子が、、、
片手に持ってた資料を手渡す
ヘチャンはその報告書の膨大な量の文字をスラスラ読んでいく
ヘチャンのニヤニヤした顔が近づいて来る
本当はめっちゃ知りたい。
まだ調整段階だろうけどどんな作戦を考えてあるかは普通に興味あるし、
詳細を知れたらジェヒョニヒョンに会えるチャンスがあるかも知れない
もう本当に早く会いたい
言いたいことも相談したいこととか聞いて欲しい事とかいっぱいある
ただ愛嬌だけは本当に勘弁して欲しい絶対やりたくない
ヘチャンの目はマジで
愛嬌は回避できそうにない
僕は覚悟を決めると
顔をちょっと傾けて上目遣いをしてみる
....ああ、屈辱すぎる..!
仕方なく僕は彼の真似をして両手をグーにして顔の横に持ってくる
そのままのポーズでヘチャンに撫でられる
その手に噛み付く真似をする
もうマジで恥ずかしさで死にそう
そう言うとヘチャンは僕の横に移動してきて
耳元で声を抑えて囁く
前にも言ったが、8年前
警察官だった僕の父親がマフィアを検挙したが逆恨みにあって両親共々は目の前で惨殺、僕は売り飛ばされた
この事件は、悪徳警察の手によって父はマフィアではない別のやくざと差し違えて殉死したことになってるし
僕と母はそのやくざの報復によって死んだことにされている
ジェヒョニヒョンも同じように偽装されている
誰も僕を助けにこなかったのはそう言う訳。
世間では僕もジェヒョニヒョンも死んだことになっている
ヘチャンはそう言うと では と、僕の部屋を後にする
...嬉しい、これでやっと父さんと母さんの無念を晴らせる
僕もそれで少しは報われる
僕は少しの間涙を流す
一通り泣き終えて気持ちの整理がついたので
休憩にとコーヒーを飲みにロビーへ向かう
ロビーにはテンヒョンにユタヒョン、それにドヨンヒョンヘンドリーがいた
4人は僕に気がつくと手まねきしてくる
...なんであんなにニヤニヤしてるんだ?
テンヒョンとヘンドリーが、さっき僕がヘチャンにやった愛嬌をそのままやってくる
なんで?!
偶然か?いや、偶然にしてはできすぎている
てかなんで知ってるの!?
僕がそう思っているのは顔に出てたみたいで
ドヨンヒョンが同じポーズをとりながら言ってくる
そう言われてカトクを開く
幹部のグループに通知が溜まっている
中を覗くと、動画が送られていた
その中身は
僕の愛嬌だった
フロア中に僕の声がこだまする
ゲラゲラ笑い転げる4人
あの時僕は気づかなかったが、どうやらヘチャンの胸ポケットに入っていたスマホのカメラがまわっていたいたらしい
あのクソガキ、ハナからこうするつもりで......!
僕はチャットに「絶対許さない」
とだけ打つとヘチャンを探し回る
まあ、結局見つからず
僕はしばらく幹部(特にユタヒョン)と顔を合わせるたび
にゃあ といじられるようになった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!