幹部会議が始まった。通称円卓会議。
さっきまで和やかだった雰囲気に、少し緊張感が走る
…………………………
一同、シーーーーン
はぁ、やっぱり…みんなが静かになったのはこういう訳です。
それを聞くや否や、僕の横にいた外部担当の下級構成員が「なんだそれヤバいじゃねえか」と言わんばかりに外に飛び出して行った。
後始末をきちんとしないと警察が絡んで厄介な事になるからね。
ボスは穏和だ。
他の組織なら、下手したら殺されている。
ジェヒョンさんが挙手する。
そんな…マジか……………
全員に動揺が走る。
『アヴィリオ』というのは我々組織最大の敵勢力であるマフィアだ。
nctが勢力を拡大する前はこの街の大部分を占領していた。
その半分の勢力を削がれたことは間違いなく深く根に持っているだろう。
彼らが本格的に動き出したってことは…
ああ、やっぱり…
そう言いながらチョンロはスクリーンにデータを映し出す。
彼の内容をまとめると、敵勢力は4ヶ月前から急速に拡大し、勢力を増している。
4ヶ月前と比べると1.75倍の勢力。
我々の3倍の構成員がいる。そういう事だそう
幹部クラスなら薄々感じといていただきたい。
やっぱどこかのんびりしてるなこの人
片付けのことを考えてください
皆、静かに息を飲む。だがテヨンはどこか余裕そうだ
皆の緊張を感じ、テヨンの余裕を代弁するようにテイルが発言する。
それはすごい…!
テイルの言葉に皆の表情が少しほぐれた。
この世界は嘘と裏切りがつきもの、それが勝利条件のような世界で裏切りが無いなんて…
テヨン、彼が見込んだ人物たちだからだろうか。流石だ…
5人は席を立つとテヨンに一礼して部屋を出ていく。
組織の中で情報収集に優れた者たちばかりだ。
いよいよ本気らしい。
重い足取りで部屋を出ていく2人。これからのことを思うと気が滅入るだろうなぁ
続々とメンバーが部屋を出ていく。
それを見届けるとテヨンはテイルとジョンウと何かを話しながら自室へ戻って行った。
僕は今日の会議の内容をまとめた資料を作成する。
とうとう始まるのか…少し怖いが彼らは行き場のない僕を拾ってくれた恩人だ。
僕にできることは小さいが、彼らのために命を捧げよう。
そう決意した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!