第65話

副作用の方が多い薬:2
6,081
2021/03/27 14:13
ショウタロウ
ショウタロウ
あなたヒョン、お願いします







ショウタロウの覚悟を決めた顔つき












僕もハアッと息を着いて、覚悟を決める















(なまえ)
あなた
ショウタロウ、君がいた場所は麻薬売買組織「남풍」
海の近くにある。




………思い出せるかな?
潮の匂いと波の音。そして微かなこの薬物の臭い…
ショウタロウ
ショウタロウ
…!!




僕は小さい袋に入れられた白い結晶を取り出して、臭いを嗅がせる







嗅いだ瞬間、ショウタロウの体がビクッと震えた













…やはりこの臭いに覚えがあるみたいだ









(なまえ)
あなた
…大丈夫?
ショウタロウ
ショウタロウ
はい…続けて下さい
(なまえ)
あなた
そして、君が記憶を無くした理由だ。
日々の虐待 それも理由の一つだけどトリガーとなった出来事がある
(なまえ)
あなた
君はこの男、남풍の頭領だったイ・グンソクとその側近3名を '殺している'
(なまえ)
あなた
その罪悪とストレスが、君が記憶を無くした理由だ






ショウタロウにグンソクの顔写真を見せると、僕達の仮説がとうとう真実だと証明された。












写真を見た瞬間、ショウタロウはガタッと音を立てて椅子から落ちた







小刻みだった体の震えがどんどん大きくなる







口から漏れていた空気が滞って過呼吸になる





























ソンチャンが焦ったように抱き上げてベッドに寝かせる














…………無理もない












今、彼の頭の中には今まで本能で蓋をしないとやっていけなかったような内容の情報が

映像のように再生されてるだろうから










苦しむ弟の姿に、僕は目を逸らしてしまった






同時に怒りも湧いてくる
























しばらくすると、ショウタロウが起き上がった



傍に寄り添うソンチャンにニコッと笑いかけるがその頬には涙の跡が


















胸が締め付けられる






















ショウタロウは僕を見つめながら微笑む











































なんでこの子は自分が本当に苦しい状況なのに、
他人にこんなにも優しく笑いかけれるんだろう






























ショウタロウ
ショウタロウ
取り乱してごめんなさい、ヒョン達






…………確かに僕は、彼を殺しました
ショウタロウ
ショウタロウ
やっと思い出しました、あの時の事

彼が隙を見せた瞬間、頭で考えるより先に手が出てしまったんです。

まずい と思った時にはもう遅かったです


それで、っつ…………!












ショウタロウは頭を抑えてうずくまる













ドヨン
ドヨン
ショウタロウ、無理しないで

今お前には膨大な記憶が一気に帰ってこようとしてる

それは脳に大きい負荷がかかってしまうんだ
ドヨン
ドヨン
だからゆっくり。ゆっくりでいいから

1個ずつ思い出していこう





ショウタロウは「はい」と答えると、ガクッと気を失った












記憶を呼び戻すのは、これくらい負荷のかかることだったのか…











ショウタロウを、個室の入院室に移す

ドヨン
ドヨン
ソンチャン、今日はもういいよ

ショウタロウの傍にいてやりなさい
ソンチャン
ソンチャン
えっ、でもまだ仕事が、、、
ドヨン
ドヨン
居たいでしょう?彼のそばに

いいんだよ。ここでやれる仕事だけ持っていて。現場は僕がやるから
ソンチャン
ソンチャン
…っ!すいません、本当にありがとうございます!!





そう言うとソンチャンは仕事を取りに戻った










僕はドヨンヒョンと部屋を出る











(なまえ)
あなた
…僕、これで良かったんでしょうか
ドヨン
ドヨン
…びっくりした?
(なまえ)
あなた
はい、、
ドヨン
ドヨン
大丈夫だよ。
彼が望んだことなんだから、早かれ遅かれ知ることになっていた
ドヨン
ドヨン
…ここに居る誰もがトラウマを抱えている。
いつかは立ち向かわなきゃいけないんだ

あなたもそうだったでしょ?
(なまえ)
あなた
はい、、
(なまえ)
あなた
………

でもなんか、彼なら乗り越えて行ける気がします
ドヨン
ドヨン
奇遇だね
僕もそう思うよ
(なまえ)
あなた
なんか、ドヨンヒョンが言うなら本当にそうなる気がします
ドヨン
ドヨン
な〜に!嬉しいこと言ってくれんじゃん





ドヨンヒョンが僕の頭をワシワシと撫でる





ドヨン
ドヨン
最近、大学はどう?
(なまえ)
あなた
最近卒業出来る分の単位取り終わりましたよ!
ドヨン
ドヨン
ええ、早いね?!
前まで単位落とすだのピーピー言ってたのに
(なまえ)
あなた
いやぁ、この抗争が少ない期間を利用して通える日は全部通いつめましたよ…
ドヨン
ドヨン
懐かしいなあ、大学
(なまえ)
あなた
えっ?!大学行ってたんですか?!
ドヨン
ドヨン
うん
(なまえ)
あなた
どこの?
ドヨン
ドヨン
ソウル大

嘘だろ…韓国一の名門じゃん…
ドヨン
ドヨン
飛び級で卒業したよ
(なまえ)
あなた
えぇ……………
ドヨン
ドヨン
でも、行ってよかったな
そこで学んだ知識がここで生かせてるのが嬉しい
(なまえ)
あなた
分かります。ほんと、通わせて頂いて感謝しかないです…!
ドヨン
ドヨン
いえいえ。
じゃあ、もうあと卒業を待つだけなんだ
(なまえ)
あなた
そうです
ドヨン
ドヨン
ふーん、なるほど
(なまえ)
あなた
なんですか?
ドヨン
ドヨン
いいや〜何もぉ〜






…なんなんだ笑














医務室まで戻ってくると、ドヨンヒョンとはそこで別れた












いつかジェノに言った「僕達でショウタロウを守ろう」といった言葉が思い浮かぶ











そう。僕達で



ショウタロウだけじゃない、他の人も

























苦難を乗り越えた者は、乗り越える人の手伝いをしなきゃいけないから

















ヒョン達が僕にしてくれたように。

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