ショウタロウの覚悟を決めた顔つき
僕もハアッと息を着いて、覚悟を決める
僕は小さい袋に入れられた白い結晶を取り出して、臭いを嗅がせる
嗅いだ瞬間、ショウタロウの体がビクッと震えた
…やはりこの臭いに覚えがあるみたいだ
ショウタロウにグンソクの顔写真を見せると、僕達の仮説がとうとう真実だと証明された。
写真を見た瞬間、ショウタロウはガタッと音を立てて椅子から落ちた
小刻みだった体の震えがどんどん大きくなる
口から漏れていた空気が滞って過呼吸になる
ソンチャンが焦ったように抱き上げてベッドに寝かせる
…………無理もない
今、彼の頭の中には今まで本能で蓋をしないとやっていけなかったような内容の情報が
映像のように再生されてるだろうから
苦しむ弟の姿に、僕は目を逸らしてしまった
同時に怒りも湧いてくる
しばらくすると、ショウタロウが起き上がった
傍に寄り添うソンチャンにニコッと笑いかけるがその頬には涙の跡が
胸が締め付けられる
ショウタロウは僕を見つめながら微笑む
なんでこの子は自分が本当に苦しい状況なのに、
他人にこんなにも優しく笑いかけれるんだろう
ショウタロウは頭を抑えてうずくまる
ショウタロウは「はい」と答えると、ガクッと気を失った
記憶を呼び戻すのは、これくらい負荷のかかることだったのか…
ショウタロウを、個室の入院室に移す
そう言うとソンチャンは仕事を取りに戻った
僕はドヨンヒョンと部屋を出る
ドヨンヒョンが僕の頭をワシワシと撫でる
嘘だろ…韓国一の名門じゃん…
…なんなんだ笑
医務室まで戻ってくると、ドヨンヒョンとはそこで別れた
いつかジェノに言った「僕達でショウタロウを守ろう」といった言葉が思い浮かぶ
そう。僕達で
ショウタロウだけじゃない、他の人も
苦難を乗り越えた者は、乗り越える人の手伝いをしなきゃいけないから
ヒョン達が僕にしてくれたように。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。