第92話

消してほしいけど消さないで:2
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2021/04/18 07:58




僕の目の前で、テンヒョンが倒れていた。








ヤンヤン
ヤンヤン
…?!ヒョン!ヒョン!!!!
ヤンヤン
ヤンヤン
起きて下さいヒョン!目を覚まして!!!






誰が?何が起きた?






僕は必死にテンヒョンを揺り動かす




ヒョンの首には締められたような手形が
口からは一筋血が流れていた





































リウ
リウ
僕がやったの
ヤンヤン
ヤンヤン
……は?
リウ
リウ
僕がやったんだよ
ヤンヤン
ヤンヤン
…な、何を言って………
リウ
リウ
本当だよ
ヤンヤン
ヤンヤン
…なんで?
リウ
リウ
分からない
リウ
リウ
君はその子の傍にいるって言った
リウ
リウ
その言葉、僕にも言った
リウ
リウ
矛盾してる
リウ
リウ
嫉妬してる
リウ
リウ
ヤンヤンは僕のものなのに
ヤンヤンは僕なのに
ヤンヤン
ヤンヤン
一体…君は何を言ってるんだよ!!!
リウ
リウ
煩いな
リウ
リウ
僕は言ったでしょ?君を守るって
ヤンヤン
ヤンヤン
言ったけど…それとこれとは何も関係が
リウ
リウ
関係あるよ
リウ
リウ
忘れてない?
リウ
リウ
「愛は傷つくって」










愛は傷つく














忘れていた
















僕を売ったのは、僕が愛していた母親だった



















一緒にいた頃も何回も裏切られ、傷つけられた





でも許してしまっていた






母親だから、愛していたから















子は親の愛を乞うてしまうものだから。






























「愛」










そんな意味不明な感情があったから







僕は逃げられなかった











愛さえ無ければ





僕はこんな所に来ることなんてなかった
















愛は盲目どころか四肢すら吹き飛ばす











正常な判断なんて出来なくなる








愛は傷を産む

























リウ
リウ
だからこうしたの。また傷つくから
リウ
リウ
傷つく前に僕が摘んじゃおうと思って
リウ
リウ
ねえヤンヤン、僕だけを愛してよ
僕は君を傷つけないよ。僕は君を愛してるんだ
この世の誰よりも、ずっと
リウ
リウ
僕は他の人とは違う。居なくならない
ヤンヤン
ヤンヤン
そんな…………ことっ………
リウ
リウ
じゃあ1個教えてあげるね
リウ
リウ
君は僕だ。
僕を作ったのは君だよ

僕が彼の首を絞めてる時、君は深層心理の意識はあったけど君は僕を止めなかった
リウ
リウ
「君がやったんだよ」
ヤンヤン
ヤンヤン
は………?え…?
リウ
リウ
「君が望んだ」
リウ
リウ
「僕は君、君は僕」なんだから




何を言っているのか全然分からなかった




きっと、ストレスのせいで妄言でも言っているんだろうと思っていたが


リウ君の言葉の一言一言は僕に刺さった






彼の言ったことは本当にその通りだったから








なんで君は僕の昔のことなんて知ってるんだよ














この世界は愛に溢れている




家族に対する愛

友人や仲間に対する愛

好きな事に対する愛

人生でたった1人に捧げる愛………














行く先行く先で愛に出会う






テンヒョンの弟としての愛ですらリウ君は許さなかった













でもリウ君、僕はもう愛を知っているんだ






だからもう愛を断つことなんてできっこないよ











例え傷つくことになるとしても…











テン
テン
…ん
ヤンヤン
ヤンヤン
ヒョン…!!!良かった…良かった…
テン
テン
…………
テン
テン
君は、ヤンヤン…?
ヤンヤン
ヤンヤン
うん、そうだよ、僕だよ
テン
テン
そっか…
テン
テン
心配してくれてたんだね、ありがとう

















そしてしばらくして、僕らはオークションに出品され





イリチルとあなたヒョン達に保護された



















業火の中、僕らは年が近そうな青年たちに連れ出された












大きいトラックの中には僕と同じように鎖を巻かれている人と、怪我をしたんだろうか?

助けに来たチームの人が横たわっている










眼帯を付けた男の子がこっちに近づいてきた










「手錠、外すね」










そう言われても、本当に味方か分からなくって怖い…







リウ
リウ
大丈夫?ヤンヤン
ヤンヤン
ヤンヤン
…リウ君
リウ
リウ
怖いんだね。大丈夫、僕が守ってあげるから
リウ
リウ
また少し寝ててね


































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テン
テン
ヤンヤン!!!!!!!!
ヤンヤン
ヤンヤン
!!!
テン
テン
ヤンヤンもうやめて………!












テンヒョンの叫び声で僕はハッと気づいた











やめてって………?






















…リウ君に「寝てて」と言われて…それから…

















僕は下を見た瞬間、ヒュッと喉が鳴るのが分かった













僕は、さっきの眼帯の男の子の上に馬乗りに鳴って


彼の首を力いっぱい握り締めていた








細い喉が跳ねる










男の子の口からは血が流れ




ぐったりとして動かない




















前にテンヒョンが倒れた時と同じ光景



















この瞬間、全ての点が線で繋がった





















テンヒョンにリウ君が見えなかった理由が

リウ君が僕のことをよく知っていた理由が

リウ君が僕を守ってくれている時の記憶が無い理由が





























リウ君は、僕だ


















テンヒョンを苦しめたのは、僕だ


















そしてまた僕は人を傷つけてしまった























ヤンヤン
ヤンヤン
ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!









…なんてことを…………







僕は、僕は…………











































僕は誰?

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