第9話

訓練2
9,578
2021/03/05 03:54
訓練はまだ続きます。

次はジェミンさん。

彼は刃物のスペシャリストで特に短剣が得意。
ジェミン
ジェミン
よろしくお願いしま〜す
軽くジャンプをしながら囲いの中に入るジェミン。

合図と同時に、今度は構成員側ではなくジェミンが先手を打った。


軽やか。重力が無いみたい。


そう思えば風を切る音が聞こえた。短剣を手裏剣のように2本投げたのだ。

投げた2本はそれぞれ構成員2人の眉間に当たる。

ゴム製だが刺さる心配はない。

しかしただ投げただけではなく物凄いスピードが込められていてもしあれが刃物なら確実に脳まで届いているだろう。

そしてスッと相手の背後に回りこみ刃を首に当てる。

3人目だ。ここまでまだ6秒も経ってない。

倒れ込む3人目の影からぱっと舞い上がると、残りの2人の間を風のように通り過ぎる。

通り過ぎる刹那、2人の首にはきちんと刃があてがわれた。

約8秒。テンさんよりも早い。



そして僕はここで違和感の正体に気づいた
(なまえ)
あなた
音が…鳴らない……!
そう。あれだけ動いていたにもかかわらず微塵の足音も着地音もしなかったのである。

ユウタ
ユウタ
そ。ジェミンの戦いはほんっっっとに静かなの。
悲鳴も上げさせる隙も与えないからほんまに暗殺向き
(なまえ)
あなた
なるほど…それに早いし…
ジェミン
ジェミン
体力があんまり無いから短期決戦を心がけてるだけだよ
なるほど…にしても速すぎる。





続いてはクンさん。
クン
クン
練習した人達は技使っておいで。しばらく受けてあげるよ
ああそっか、今まで構成員が瞬殺だったから忘れてたけどこれ、構成員側にとっても訓練なのか…

始めの合図で構成員が仕掛ける。

体格のいい構成員が助走をつけて大ぶりの蹴りを食らわす。



確実に重い、ルーカスと同じぐらいの重さだろう。しかしそれをクンは片手で防いだ。


ピクリとも動いてない。
(なまえ)
あなた
え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜笑
もう怖いよこの組織。みんなバケモノじゃん
クン
クン
重くていい蹴りだな。結構な破壊力が期待できそう。
だけど予備動作がデカすぎる、避けられてしまうよ
クン
クン
速さはいいですが軽すぎるね。
これじゃ急所に当てても浅くて効かないよ
クン
クン
狙う場所と勢いはいい。あとはタイミング。
相手が1番嫌がる瞬間を狙うんだ
攻撃を受け流しながら淡々と批評をするクン。猛攻撃をくらっているのにビクともしない。

この人の前世は相撲部屋の壁か?
クン
クン
そろそろいいかな
そういうと周りにいた構成員を掴んでは立て続けに技をかけ、あっという間に制圧してしまった。

この人は柔道を使う。

なるほど。あの猛攻に耐えうる体幹と筋力は柔道との相性は抜群のはずだ。

それにしても本当に綺麗に転がすなぁ
次はショウタロウ。彼の戦いを見るのは初めてだ。短期間で幹部にまで登り詰めた実力、どんなものなのだろうか。
ショウタロウ
ショウタロウ
よろしくお願いします☺️
こんな可愛い子が本当に戦うの?
そんな疑問はすぐに消えた

開始の合図が出る。

と同時に襲いかかる構成員。
それをさっきと変わらない穏やかな表情でカウンターをかけて一瞬で完封した。

(なまえ)
あなた
?!
鮮やかすぎてよく分からない。

そしてすぐに切返し、サッと相手の懐に入り正確に相手の急所を突く。

動きは軽いが攻撃は重い。どこかテンさんと同じ雰囲気を感じられる。

敵の攻撃を最小限の動きで避け、同じような要領ですぐさま相手を制圧した。

これはテンに匹敵すると言われる訳だ…

正確無比で完璧な狙いに1寸の無駄のない動き。そして「余裕」を生み出す才能。

頭の中はさぞかしクリアだろう。

この子、すごい…
ショウタロウ
ショウタロウ
ありがとうございました☺️
初めと終わり、戦ってる最中も変わらない穏やかな笑顔。

こんなに強い人間なのに警戒できない。
これは何気に1番恐ろしいことかもしれない。

警戒する前に、危険と感じる隙もなくやられてしまうかもしれないから。

最後はリーダーのユウタさんだ。

ジェミン
ジェミン
しーーーーじゃっ!!!!!
さっきから開始の合図が言いたくてソワソワしていたジェミンさん、言わせてもらってよかったね。


合図と同時に降りかかる敵の無数の攻撃を全て避けると、少し距離を取る。

そして「来いよ」と言わんばかりに指をクイクイと曲げて挑発する。

そしてきた攻撃を今度は全て「左手の三本指のみ」で受け流した。

自分にハンデを加え、相手を観察しながら戦いを楽しんでいる。

少しバーサーカー気質があるな、この人。
戦いを恐れず立ち向かえる人材は最前線に相応しい。

目が何個あっても避けきれないような敵の猛攻をスルスル避ける。

そして「今度はこっちの番」と言ったようにニヤリと不敵な笑みを浮かべた
(なまえ)
あなた
…………!
その笑みに少しこっちがたじろいでしまった。
背筋が凍る。

あぁ、案の定1人の構成員が腰を抜かしてしまった。

これ、本番中に殺気を込めて笑われたらどうなるんだろう…そう考えてる間に戦闘が終わった。


ユウタさんの攻撃は実に野性的で少し暴力性を感じる。こわぁ………



これで全員分の記録が取れた。
いやあ、凄かったなあ。何回みてもすごいし、いつも前来た時よりもはるかに進化を遂げている。

(なまえ)
あなた
皆さんお疲れ様です。御協力ありがとうございました
ユウタ
ユウタ
おう、ご苦労さん!またよろしく!
気さくなユウタさんとヒラヒラ手を振ってくれるほかのメンバーに見送られて僕は闘技場を後にする。

この資料はチソンさんとヘチャンさんが欲しがっていたものだ。さっさとまとめて届けちゃおう。

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