ジェヒョン🍑side
俺は今、警察署に密偵に来ている
密偵と言っても、警察の制服は着ているし
偽造した警察手帳もすべて持ち合わせている
本当の警察官と変わりはない
ふと署をせかせかと走る若い警察官が目に入る
一瞬、自分の姿と重なる
俺にも、あんな未来があったはずなのに
「警察が裏社会と繋がりを持っている」
これは今に始まったことじゃない
流石は本職と言うか。
上手く隠していたから今まで明るみにでてなかっただけだ
小さい頃から警察官になりたかった
中学の時に猛勉強し、卒業と同時に高卒認定試験を受け
そのまま警察学校に入学した
一刻も早く警官になりたかったのだ
小さい頃から勉強していたおかげで法律や警察に必要な知識は
入学時には全て知っていた
それが仇となった
16歳の時 警察学校に入学して5ヶ月が過ぎた頃
現役警察官である教官が
マフィアの罪を証拠をもみ消す代わりに多額の報酬を貰っていることに気づいた
もはやいっぱしの警察官と同じぐらいの知識と洞察力を持っていた俺はそれを駆使して
上官に報告
教官を告発した
はずだった
が、俺はそのあと拉致され
マフィアの「おもちゃ」となった
報告した上官さえ「グル」だったのだ
警察がそこまで腐っているとは思わなかった
マフィアのおもちゃとしての生活は酷いものだった
あれは生活なんて言えるもんじゃない
暴力ももちろん振るわれたが
1番最悪だったのは奴が「男好き」
だったことだ
………………気分が悪くなってきた
そして2年後にテヨン達に助けて貰った
心に傷を負った俺を彼らは何度でも助けてくれたし、
その傷の血を止めてくれた
傷跡は残るがそれで十分だ
今回の警察の闇取引の件
俺が絶対に蹴りをつける
それがnctにとって必要な事だし
俺の復讐にもなる
ウィンウィンが俺の背中に手を乗せる
今日の偵察にはウィンウィンが着いてきてくれている
制服が良く似合うな…
証明証をかざすとピッと扉が開く
…さっき通りすがりの警官からくすねてきた物だ
ウィンウィンが驚いたように聞いてくる
目を丸くするウィンウィン
僕らは部屋に入るとそのまま資料を探す
ここは資料保管庫
機密資料や極秘情報などが隠れている可能性がある
ここで、マフィアと警察が繋がっている物理的な証拠を掴みたいのだ
……やっぱりこんな簡単なところには無いか…
遠くから物音が近づいてきた
足音だ
僕らは狭い、1番奥の机の下に潜り込む
窮屈…
足音の主はこの部屋に入ってきた
2人か…
👨🏻✈️「…どうだ奴らとの契約は」
🧑🏽✈️「アヴィリオ、ですか?」
…!!!!
アヴィリオ…
俺とウィンウィンは顔を見合わせる
急いで録音を開始する
🧑🏽✈️「順調ですよ。でかい金も入ってきてますし」
👨🏻✈️「奴らの目的は裏社会を牛耳ること…それが達成出来ればいいのだろう?」
🧑🏽✈️「ええ、奴らはその内邪魔な組織を消すでしょうね」
👨🏻✈️「nctか?」
🧑🏽✈️「その通りです。ですが彼ら厄介でして」
👨🏻✈️「なにが?」
🧑🏽✈️「マフィアの癖に犯罪歴が無いんです。あるとしても裏社会間のみなのです」
👨🏻✈️「民間人の被害が一切ないということか…」
🧑🏽✈️「ええ。なので我々としては検挙するネタが無いのです」
👨🏻✈️「ハッハッハ、君はそんなことを気にしているのか?若いなあ。
犯罪なんてな、作ってしまえばいい」
🧑🏽✈️「ははは、副署長殿はえげつないですねえ」
そう言いながら2人は出ていった
頭が真っ白
体が怯えて震えているのがわかる
反射で涙が目に溜まる
嘘だろ…………
アイツらごときに心の奥でこんなに恐れを抱いていたなんて………………
アイツらごときこんなに怯えるなんて
情けない……………………
ウィンウィンの震えを抑えてくれるかのように
そっと、でも強く抱きしめてくる
俺の後頭部に手を当て、自分の肩に顔を埋めさせるようにしてくる
まるで涙をためてる俺を隠してくれるみたいに
自分より華奢な体
最初の方は男にも触れられるだけで拒絶反応が出たが、
何故かウィンウィンにだけは触れた
ウィンウィンは俺の震えが収まるまでずっとこうしててくれた
ウィンウィンは僕の横に座ると背中を撫でる
俺たちは小さくハイタッチする
僕らは人の目を盗んで、監視カメラの死角を縫って外へと脱出する
俺はもう一度警察署を振り返る
大きな建物。それの最上階当たりを睨みつける
待ってろ、必ずお前らの罪を暴いてやる
そう心の中で誓うと僕らは警察署を後にした
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。