シャオジュンの寝顔
さっきまでとは打って変わっての静けさ
苦痛など一切ない、穏やかな寝顔
僕は軽く放心状態でそれを見つめる
ここは威神の宿舎
メンバーはそれぞれやることをしながら眠るシャオジュンのそばに居る
いつも明るくて楽しげに笑っている不幸とは無縁そうな彼の胸の中は
とてつもなく恐ろしい苦しみに蝕まれていることがショックだった
シャオジュンに冷たいセリフを吐きながらも、彼の真横にピッタリくっついて手を握っているヘンドリー
…発作か
前資料の見すぎで倒れて1日寝たやつも軽い発作に該当する
僕の発作はこの子に比べたら軽い方だけど、
シャオジュンの発作を見てると自分が発作を起こした時の感覚が重なって苦しかった
というかここにいる全員が発作のリスクを併せ持っている
「傷」というのは痛いだけじゃなくて
とんでもない置き土産を置いていくもんだ
僕は腕を大きくまくる
服を少しめくったらすぐに見える僕の傷達
痛かったなあ
どうして生きているのか不思議なくらい
よく死ななかったよなあ
傷を眺めなら、ぽろっと出た言葉だが
ここにいる全員は僕の今の言葉に心の底から共感してくれた
…この感覚は理不尽に残虐な限りを尽くされて
死の淵に立ったものしか分からないだろう
その言葉に全員がこくこくと頷く
クンヒョンが両隣に座っていた僕とヤンヤンの頭をワシワシ撫でる
………彼らは僕の生きる理由だけど、僕も彼らの生きる理由となれてるんだったら
すごく嬉しい
布団がピクリと動くと、
シャオジュンの声が漏れる
全員が一斉にシャオジュンの方をむくと
ん〜っと眩しさに顔をしかめながら
シャオジュンが目を開いた
ヘンドリーがシャオジュンを思いっきりしばく
僕がそう言うと、シャオジュンは悔しそうで泣きそうな顔をしながら首を横に振った
シャオジュン……
そんな事ない、そう声をかけようとした瞬間
ヘンドリーがガバッと立ち上がった
シャオジュンはあわあわしながらヘンドリーを引き寄せて慰める
わんわん泣くヘンドリー
ヘンドリーが拗ねるという珍しい状況に困惑するシャオジュン
なんとかご機嫌を治してもらおうとわたわたしている姿がなんか面白くて
みんなの顔がすこしほころぶ
シャオジュンまで泣き出す
2人ともバッチリ泣きながら
「泣いてない泣いてない」と喧嘩する
いつも通りだが相変わらずな光景に
みんな笑顔になる
みんな強くなっている
お互い支え合いながら
少しずつでいい
こうやって大好きな仲間たちと1歩ずつ歩んでいけば
僕らは必ず強くなれる
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!