第80話

暗黒旅行記:3
5,938
2021/05/19 06:18














シャオジュンの寝顔





















さっきまでとは打って変わっての静けさ















苦痛など一切ない、穏やかな寝顔













僕は軽く放心状態でそれを見つめる










ここは威神の宿舎







メンバーはそれぞれやることをしながら眠るシャオジュンのそばに居る










いつも明るくて楽しげに笑っている不幸とは無縁そうな彼の胸の中は


とてつもなく恐ろしい苦しみに蝕まれていることがショックだった














ウィンウィン
ウィンウィン
あなた、大丈夫?
(なまえ)
あなた
はい…ですがすごい衝撃的でした
発作を見るのは初めてじゃないのに…
ウィンウィン
ウィンウィン
あんなに酷いのは僕達も初めてだよ
(なまえ)
あなた
僕が資料を机に置いたままにしてたから、、、
ヘンドリー
ヘンドリー
あなたは悪くないよ。勝手に読んだのはこいつなんだし、、、

全く、なんで読むんだよこのバカ


てか、俺らの為にまたなんかやってくれてたんだろ?
ヘンドリー
ヘンドリー
…あなたも気をつけなよ
お前だっていつ発作が出るか分かんないんだから







シャオジュンに冷たいセリフを吐きながらも、彼の真横にピッタリくっついて手を握っているヘンドリー








…発作か




前資料の見すぎで倒れて1日寝たやつも軽い発作に該当する











僕の発作はこの子に比べたら軽い方だけど、
シャオジュンの発作を見てると自分が発作を起こした時の感覚が重なって苦しかった



というかここにいる全員が発作のリスクを併せ持っている










「傷」というのは痛いだけじゃなくて
とんでもない置き土産を置いていくもんだ


















僕は腕を大きくまくる

服を少しめくったらすぐに見える僕の傷達











痛かったなあ










どうして生きているのか不思議なくらい











よく死ななかったよなあ





















(なまえ)
あなた
こんなに痛くっても、死なないもんなんですね






傷を眺めなら、ぽろっと出た言葉だが






ここにいる全員は僕の今の言葉に心の底から共感してくれた









…この感覚は理不尽に残虐な限りを尽くされて

死の淵に立ったものしか分からないだろう







テン
テン
ほんとにね笑あんなに痛かったのに
ヤンヤン
ヤンヤン
今も生きてるのが不思議…
ルーカス
ルーカス
俺今ちゃんと生きてる????
ウィンウィン
ウィンウィン
大丈夫バッチリ生きてる
(なまえ)
あなた
………でも今生きれてるのはみなさんのおかげだと思うんです
クン
クン
その通りだよ、あなた

この組織にいるみんなが僕達の痛み止めになってくれてる






その言葉に全員がこくこくと頷く







クンヒョンが両隣に座っていた僕とヤンヤンの頭をワシワシ撫でる








………彼らは僕の生きる理由だけど、僕も彼らの生きる理由となれてるんだったら

すごく嬉しい

















シャオジュン
シャオジュン
……
布団がピクリと動くと、
シャオジュンの声が漏れる




全員が一斉にシャオジュンの方をむくと










ん〜っと眩しさに顔をしかめながら

シャオジュンが目を開いた












ルーカス
ルーカス
シャオジュン!!!!!!!!!!!!
ヤンヤン
ヤンヤン
ヒョン!目を覚ましたんですね!
ウィンウィン
ウィンウィン
大丈夫?体調悪いとかある?
シャオジュン
シャオジュン
…………?俺…あれ?
シャオジュン
シャオジュン
良く寝ました
ヘンドリー
ヘンドリー
アホーーーーーーっ!!!!!!!!


ヘンドリーがシャオジュンを思いっきりしばく


シャオジュン
シャオジュン
いっっっっっった!!?
シャオジュン
シャオジュン
何すんだこの野郎!!!!
ヘンドリー
ヘンドリー
何するもこうするもねえよ!
どんだけ心配したと思ってんだ!!!
それなのになぁにが第一声が「良く寝ました」だよ馬鹿じゃねえの?!!?!
(なまえ)
あなた
落ち着けヘンドリー
シャオジュン
シャオジュン
あえ?なんであなたいんの???
迷子?
(なまえ)
あなた
ヘンドリーやっぱもっかいシバいて
ヘンドリー
ヘンドリー
あいよ
シャオジュン
シャオジュン
痛っ!!!!
クン
クン
まあまあ、シャオジュン
落ち着いたみたいでよかったよ
シャオジュン
シャオジュン
………もしかして僕
また発作起こしましたか?
テン
テン
うん。過去一酷いやつね
シャオジュン
シャオジュン
マジっすか…すいません……
(なまえ)
あなた
ごめんなシャオジュン、俺が資料置きっぱなしにしたりしたから
ヘンドリー
ヘンドリー
だーかーら、あなたは悪くないって!
このバカが読むから悪いの!
シャオジュン
シャオジュン
ああ、資料…
そっか思い出したわ
シャオジュン
シャオジュン
…そろそろ俺もあなたみたいに少しずつ克服していきたいなって思って
もう見ても大丈夫かもって思って読んでみたんだけど………
シャオジュン
シャオジュン
やっぱ無理だった
(なまえ)
あなた
そっか、頑張ったんだな




僕がそう言うと、シャオジュンは悔しそうで泣きそうな顔をしながら首を横に振った



シャオジュン
シャオジュン
…俺、あの頃と変わんない
弱いままだ
シャオジュン
シャオジュン
あの時の事克服したいのに、負けたくないのに………また負けた





悔しい…………っ



シャオジュン……

そんな事ない、そう声をかけようとした瞬間


ヘンドリーがガバッと立ち上がった



ヘンドリー
ヘンドリー
はあ?何言ってんの?
ヘンドリー
ヘンドリー
お前、めっちゃ強くなったじゃん
シャオジュン
シャオジュン
へ…?
ヘンドリー
ヘンドリー
自分で資料見たんだろ?克服しようって思って行動したんだろ?

それってめっちゃすげえじゃん!!!
ヘンドリー
ヘンドリー
俺なんかまだ資料なんか見れねえし、見ようとも思わん

…だって怖いじゃん
ヘンドリー
ヘンドリー
でもお前は!
自分の発作が重いことも知っておきながら資料見ようと立ち向かったじゃん!!!
シャオジュン
シャオジュン
ヘンドリー…
ヘンドリー
ヘンドリー
あんなに苦しむことも覚悟で…っ
お前……っほんとに……
っすごい…グスッ
シャオジュン
シャオジュン
へ?!な、、な、なな泣いてる??!
シャオジュン
シャオジュン
ち、ちょ、ちょっとどうしたの?お前らしくないやだやだ





シャオジュンはあわあわしながらヘンドリーを引き寄せて慰める


わんわん泣くヘンドリー





テン
テン
シャオジュン〜、ヘンドリー一番お前のこと心配してくれてたんだよぉ
シャオジュン
シャオジュン
えっ?!そうなの?!!?!
ヘンドリー
ヘンドリー
ったりまえじゃんボケっ……
シャオジュン
シャオジュン
ご、ごめんな、心配かけて
ヘンドリー
ヘンドリー
いやです…
シャオジュン
シャオジュン
えぇ…




ヘンドリーが拗ねるという珍しい状況に困惑するシャオジュン



なんとかご機嫌を治してもらおうとわたわたしている姿がなんか面白くて

みんなの顔がすこしほころぶ







ルーカス
ルーカス
シャオジュン
シャオジュン
シャオジュン
ん?
ルーカス
ルーカス
You did your best!!!
(なまえ)
あなた
うんうん
ウィンウィン
ウィンウィン
頑張ったね
クン
クン
お前は強くなってるよ、そしてまだ負けてない
だからこれからもお前が頑張るんだったら俺達も支えるからな
テン
テン
その通り!
ヤンヤン
ヤンヤン
僕も頼ってくださいね!ヒョン!
シャオジュン
シャオジュン
っつ…みんなぁあぁあ






シャオジュンまで泣き出す







ヘンドリー
ヘンドリー
なんだお前も泣いてるじゃねえかぁあ
シャオジュン
シャオジュン
泣いてねえよぉお
ヘンドリー
ヘンドリー
泣いてるだろがぁ
シャオジュン
シャオジュン
お前こそ泣いてるだろが
ヘンドリー
ヘンドリー
泣いてねえよぉ!!!!
シャオジュン
シャオジュン
痛っ!!!!!!








2人ともバッチリ泣きながら

「泣いてない泣いてない」と喧嘩する








いつも通りだが相変わらずな光景に

みんな笑顔になる




























みんな強くなっている



お互い支え合いながら



































少しずつでいい

こうやって大好きな仲間たちと1歩ずつ歩んでいけば


























僕らは必ず強くなれる

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