第193話

麗し
7,307
2021/07/20 11:04


《テヨンside》













「おはよう」





















聞き慣れた声で目が覚めた
































目をそっと開ける














テヨン
テヨン
ゆた...?






朝日が眩しい


僕を覗き込む逆光の顔が笑う


長い髪が僕の顔に触れるか触れないかの距離まで垂れている







夢なのかな、










目の前にくしゃっとした笑顔を浮かべてるユタがいるよ

でもこれは夢じゃない




きちんとユタを感じる










ユウタ
ユウタ
テヨンア
テヨン
テヨン
.....!!
テヨン
テヨン
ユタっ






そう言うと、ユタは半分倒れ込むように僕の胸に落ちてきた




お互い包帯でグルグル巻きで、点滴に縛られた腕で必死に相手の体に絡める









ユウタ
ユウタ
テヨン、テヨンア...
テヨン
テヨン
ユタぁ....!!
テヨン
テヨン
よかった、よかったあ....






ユタの声




優しい肌触り








もう離れたくない、ずっとこうしてたい
もう離れない。一生








もう離さない




















目頭が熱くなって、滴が頬を伝うのがわかる




でも、ユタがまた僕を覗き込むように真上に顔を上げた時
僕の頬に生暖かい水が降ってきて

ユタも泣いていると言うことに気がついた






















テヨン
テヨン
ユタ、全部、全部終わったんだって
ユウタ
ユウタ
全部?
テヨン
テヨン
アヴィリオも、警察も、SWAも全部....!
みんながやってくれたの
ユウタ
ユウタ
ほんまに?
すごい、夢でもみてるみたい....!
テヨン
テヨン
本当に、、、
僕も、今も夢の中にいるみたい
ユウタ
ユウタ
夢ちゃうで






そう言ってユタは優しく触れるようなキスをする







......柔らかい




たったこんだけなのに、一瞬で満たされる























ああ、本当に夢みたいに幸せ













しばらくそのまま






やがてユタは辛そうに身を起こす


「寝てた方がいい」
と言う僕を静止して、ユタは僕を眺める

目線が顔からお腹の方に向く












ああ、お腹の傷を気にしてるんだろうな












ユウタ
ユウタ
.....触っていい?
テヨン
テヨン
いいよ








ユタは、こわごわ僕の腹の傷に、包帯越しに触れる
そっと、もはや触れていないくらいに優しく。








ユウタ
ユウタ
痛い?
テヨン
テヨン
何もしてなかったら、大丈夫
ユウタ
ユウタ
ごめんな
テヨン
テヨン
何言ってるの
テヨン
テヨン
ユタは本当にうまくやってくれたよ
僕こそごめんね、撃たせちゃって
ユウタ
ユウタ
....許...す




ユタは少し不機嫌そうにそう呟くと、
僕の胸にまた倒れかかると

そのまま溶けるように眠ってしまった















可愛い。

すやすやと眠る僕の恋人





生きてる






頭を撫でてやる

ふさふさの髪


全部大好き

































テヨン
テヨン
あとはお前が起きてくれたら完璧なんだよ、あなた




透明なカーテン越しに眠るあなたを見つめながら言う



あなたとの間はその透明カーテンだけじゃない、何か大きいものがある気がして少し怖かった。

僕には祈ることしかできない
信じることしかできない












そう思いながら時間を感じていると





僕のベッドのカーテンが開いた














ドヨン
ドヨン
えっ、、?!ユタヒョン、?
テヨン
テヨン
さっきまで起きてたよ、ユタ
ドヨン
ドヨン
....起きてすぐ、歩くなんてこの人、、ほんと、、、、
ドヨン
ドヨン
怪物....





ドヨンは驚きつつも心底安心したようにため息をつきながら
ユタをベッドに戻す





テヨン
テヨン
中国メンバー、無事に帰ってきたみたいだね
ロンジュンと、ウィンウィンはどう?
ドヨン
ドヨン
無事ですよ。傷は浅くはないですが、命に別状はないです
ウィンウィンは奥のベッドで寝ていますし、ロンジュンはもう処置を終えてます
テヨン
テヨン
そっか、よかった....
ドヨン
ドヨン
やっと、全部終わりましたね
テヨン
テヨン
本当....やっと、ね.......











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3時間前

《ロンジュンside》



















チソンに支えられながら飛行機から降りる

もう夜明け前、黎明。









大した怪我じゃないけど結構血が出たせいで少しくらくらする

そのまま中に入り、もう夜も遅いし僕も疲れているから軽い治療だけを受けて
自分の部屋に戻る






ゆっくり階段を降りて、
自分の部屋に入って顔を上げた瞬間

目の前にヘチャンが飛び込んできた

















ヘチャン
ヘチャン
ロンジュナ!!!
ロンジュン
ロンジュン
うわあっ!!!





僕の胸に勢いよく頭を突っ込んで抱きつく
僕はその勢いを受け止めきれずによろめいて、背中にどんと扉が当たる感覚がする



痛えよ、速度を考えろ僕は怪我人なんだぞ

と言うかなんでヘチャンが僕の部屋にいるんだ、一瞬お化けかと思ってびっくりしたじゃないか...!!!!












ロンジュン
ロンジュン
ね、痛いってば
ヘチャン
ヘチャン
うるさい....







ヘチャンは胸に頭をすり寄せる。



犬みたいで可愛い

まあ、心配かけちゃったよな....








ロンジュン
ロンジュン
ただいま、ヘチャン
ヘチャン
ヘチャン
...ドンヒョクがいい
ロンジュン
ロンジュン
ドンヒョク
ヘチャン
ヘチャン
......おかえり
ヘチャン
ヘチャン
心配したんだからな
ロンジュン
ロンジュン
知ってる
ヘチャン
ヘチャン
はあ?!
ロンジュン
ロンジュン
心配するだろうなーって思ってた
ロンジュン
ロンジュン
それに寂しがってるだろうなーとも
ヘチャン
ヘチャン
な、なんでそんなこと...
ロンジュン
ロンジュン
お前のことならなんでも分かるよ




いつも散々言われてるセリフを返してやる







よっしゃ、言ってやったよ


そうするとドンヒョクは顔を真っ赤にして下を向いた






うわあ、可愛い











まあでも、いつも元気なドンヒョクがこんなにしおらしくなってるってことは
本気で心配してくれてたんだろうな



ロンジュン
ロンジュン
僕も寂しかったよドンヒョク
ヘチャン
ヘチャン
......
ロンジュン
ロンジュン
ごめんね心配かけて
ヘチャン
ヘチャン
別に...
ヘチャン
ヘチャン
ちゃんと帰ってきてくれたから別に...いいよ




ええ〜....

どうしようかな本当に可愛い
今日こいつ全然生意気じゃないもん





とりあえず僕はヘチャンをぎゅっと抱き寄せる

















あー、安心する















ヘチャン
ヘチャン
怪我は?...肩、撃たれたって
ロンジュン
ロンジュン
ああ、簡単な処置をしてもらったよ
でももう疲れてるから手術とかは寝てからだって
ヘチャン
ヘチャン
ああ、そっか
ロンジュン寝ないとじゃん
ロンジュン
ロンジュン
うん...もうすっごい眠い






僕はベッドに上がると
その隣にドンヒョクも寝転ぶ




さあ寝るか...




と言ってももうすぐ日が向ぼるような時間帯で、
空はもう遠くの方が黄色いグラデーションになっている













ふと、横にいるドンヒョクがこちらをみているのに気がついた






クリクリした綺麗な目に少年のような可愛らしい顔立ち


カーテンから漏れる少しの光と
ベッドの白いシーツと、ドンヒョクの小麦色の肌がよくなじんでいる


























ヘチャン
ヘチャン
ロンジュナ、ちょっと....




ドンヒョクが僕の上に顔をかぶさると


そのままキスをする











柔らかい感触になんか暖かい感じ
溶けちゃいそう







僕の指に、ドンヒョクの指が絡む

















長いキスの時間が終わると
ドンヒョクは顔をあげる













ヘチャン
ヘチャン
ねえロンジュナあ
ロンジュン
ロンジュン
ん?
ヘチャン
ヘチャン
肩の傷が治ったらさ、次は....
ヘチャン
ヘチャン
もっとイイことしようね
ロンジュン
ロンジュン
なっ?!はぁ?!?!!








突然の爆弾発言に僕が慌てふためくと

それを見たドンヒョクはいたずらな笑顔を浮かべて









「おやすみ」








と布団をかぶると僕を置いて本当に寝てしまった































...........え、いや.....
今のですっごい目が覚めちゃったんだけど













僕寝れないよ..........

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