ポカポカとした気持ちいい陽気の昼




















に似合わず
その陽気を遮る裏路地の影ではじっとりと血が流れていた

大勢の男が血を流して倒れている。
その真ん中で話す2人










どんだけ異様な光景か分かるだろうか




















彼らが今やっているのは「警告」













見回りを行って怪しい動きをしているものを攻撃し

nctからの口頭での警告を無視したり、
舐めた真似をしている様な輩を力で警告する役割












nctのアジトに直接攻撃を下されないのは彼らが反乱因子を未然に潰しているからだ

その役割は、テンとヤンヤンを中心に行われている




他の第一部隊は

ユウタはテヨンのボディーガード



クンは本部防衛の為にアジトに駐在



ルーカスとショウタロウは色々な作戦行動の護衛として活動し



ジェミンは暗殺を任されている

テンはそう言いながら倒れている男の髪の毛を乱暴に掴んで顔を上げさせる













さっきの柔らかい話し方とはまるで違う
目つきも猛禽類のように鋭い

男が怯えた目で頷くのを見るとテンは満足そうに手を離す

そう言ってまた入り組んだ路地を歩き出す

暗く不穏な空気感の迷路みたいな裏路地を、自分の庭かのようにスイスイと進んでいく

テンがそう言った瞬間





上から8人くらい敵が降ってきた





















が、首に振り下ろされたナイフをテンは見もせずに避ける

ヤンヤンは棍で地面を突いて後ろに飛び退く

テンとヤンヤンはピタっと背中を合わせると





ヤンヤンの返事を合図にダッと逆の方向へ足を踏み出した


















































〈テンside〉










敵は4.4に分かれたみたい



ん〜この感じ、うちの構成員より強い










敵組織の精鋭みたい。
僕達を「殺しに」来たのは明確だね










確かな技術と連携をとって繰り出される攻撃を避ける、避ける







お〜結構速いじゃない





それに確実に死角を狙って来る
















◼️「？！」










僕が攻撃を見ずに避けると、敵は驚いたような表情をする










そりゃあそうだろうね











確かに僕の回避能力はずば抜けている。
動体視力も優れてる


















でもそれに頼るだけじゃお子ちゃまなの






























だけど僕がこんなに避けるのが上手なのは

相手は連携を取るのが上手い

臨機応変に僕の動きに対応している



















だけど、「連携」というのはフリースタイルじゃない。

いくら臨機応変と言えどもどこかしら決まった役割や規則性がある






































つまり「隙」にも規則性があるってこと
























相手の殺気と動きと息遣い


































全て感じて。







































少し目を閉じて息を止めると
































ほら

相手の動きがスローモーションで見える
























相手の穴が光が当たるようにはっきり見える
















僕はそこに向かって飛び込むだけ





























最大、最速でね





































息を吸って吐き終わる間に





































敵が全員地面に崩れ落ちる
































また僕の勝ちだね






























君たちもまあまあ強かったけどさ

〈ヤンヤンside〉















僕裏路地って大好き

















空中攻撃がしやすいってのもあるけど











この妙に静かで肌寒くて薄暗い雰囲気が好きなの

お兄さん達は次々と僕に襲いかかってくる











うわあ、中々強いね












耳の近くでﾋｭｯと風を切る音





体スレスレに拳が来た時の風圧




飛んできた凶器を間近で避けるスリル


































ああ…すっごい楽しい……………

僕は全部スレスレで避ける









このスリルが堪んない






























わ、弾幕みたいなナイフが飛んでくる


避けれるけど、避けるの面倒くさいなぁ































僕はその場で棍を回転させてナイフを弾く






そのうち2本ぐらいが隙間を縫って僕に刺さる


皮膚を突き破って血が流れる













痛い















































……………最っ高

もうちょっと強く投げてよ。



そしたらもっと痛いじゃん


















痛いと「生きてる」って感じがして

すごく気持ちいいの



















もっと感じさせてよ



























まあでも、やりすぎたらまたヒョン達に怒られちゃうから今日はいいか



















僕は空中に飛び上がる




路地の屋根の上が一瞬見える。

いい天気だなぁ















空中で下を向き、体の重心を思いっきり変えると








奥にいた飛び道具使いの頭を棍で殴り倒す







そしてそのままその振り下ろした棍で地面を叩き後ろに飛ぶと


もう1人を叩き、壁を蹴り空中で方向を変える








逆側にいた敵の顔を突いて吹き飛ばす









そしてバク宙








そのまま体を捻って最後の敵の頭を思いっきり振り抜く












ビチビチビチッと僕の顔に生暖かい返り血が飛ぶ






















今4キルするのに今足1個も地面についてなかったんだよ。
すごいでしょ

テンはじたばたするヤンヤンを取り押さえながらアジトに戻る










快楽主義で自傷癖のある弟に、適者生存思想だが愛情深い兄





































彼らは今日も、相手の血を飲み

自分達の大切な物を守っている