時々、そう感じる
今の自分は、本当の自分なんだろうか
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「多重人格症」
その言葉を知った時
時々記憶が抜け落ちたり、自分がやった覚えのないことを自分がやったと言われる現象に
やっと納得がいった
僕の体には、僕以外にもう1人住んでいる。
普通の僕と
「リウ」と名乗る男の子
僕の体?いや、
これは本当に僕の体なのか?
今の僕は生まれた時から備わっていた人格なのかな?いや、僕らは2人で1人?
僕はそういう風に感じるけど
人格が出入りする度に
段々分からなくなってきちゃった
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僕が人身売買組織にいた時間は、NCTの中で1番長い
2年6ヶ月
長い月日、その地獄で過ごした
この世の全ての苦痛を味わった自信がある
様々な種類の、様々なジャンルの虐待
最初の2週間ぐらいは、泣き叫ぶ余裕があったけどもうそこからは声を出す気力も無くなった
残虐趣味の主人は僕をこき使っては、ストレスや性欲のはけ口として毎晩僕を使った
もう抵抗する気も毛頭ない
ただ虚ろに天井を眺めるだけ
そんな時に「リウ君」は現れた
なんで僕の名前を知っているの…
その子は僕そっくりで、綺麗な白い髪の男の子
きっと狐が化けてでたらこんな感じなんだろうな
妖しい美しさがあった
その時を境に、僕は虐待を受けなくなった
というか、いつも虐待を受けているはずの時間の記憶が無いのだ
どっと眠気が襲ってきて、瞼が重くなる
僕が捕らえられてから3ヶ月後
同じ牢に新しい人が入ってきた
小柄な、綺麗な顔立ちの青年
名前を「テン」と言った
僕と同じく外国から連れてこられたみたいで、言葉が多少覚束無い所があったが
笑顔が印象的な優しいヒョンだ
ヒョンは不思議そうに顔を傾けた
ヒョンには何故か、リウ君のことが見えなかった
強いストレスが原因なのかな…
リウ君も、ヒョンとは話そうとしなかった
ヒョンは虐待を受けても、あまり辛そうな素振りを見せなかった
「自分には痛覚があんまりないから」
ヒョンはそう語った
本当にそうみたいで、骨が折れるような大怪我をしてきても少し痛いと言うだけで
ニコニコしていたのだ
精神的、性的な虐待を受けた時だけ泣いて帰ってきた
一瞬、ここで僕の記憶は途絶えた
そして再び気づいた時
僕の目の前でテンヒョンが倒れていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!