第85話

息を殺して
6,082
2021/04/12 09:42






とうとう決戦も本格的に始まってきそうだなあ…







裏社会には緊張感が走っている















風船に、延々と空気を入れ続けてるような感覚










いつ爆発するか分からない















きっと、この状況も持って1ヶ月だろう










外回りの状況はどうなんだろうなあ








(なまえ)
あなた
あ、ヤンヤン
ちょうど良かった。少し聞いていい?
ヤンヤン
ヤンヤン
あー!あなたヒョンだあ!
何ですかあ?


ヤンヤンは僕を見ると抱きついてくる

僕も適当によしよししながら応じる


(なまえ)
あなた
今外回りどんな感じ?
なんか些細なことでもいいから変わった事はない?
ヤンヤン
ヤンヤン
うーん、やっぱり日が経つにつれて強くはなってきていますけど

最近はそれも斑かなって感じです
(なまえ)
あなた
斑?
ヤンヤン
ヤンヤン
なんだろ、すごい敵が多い日もあればピタッと1人も現れない時とかが最近になって出てきました
(なまえ)
あなた
へえ…妙だね
テン
テン
でしょ、気持ち悪いよね
(なまえ)
あなた
あ、テンヒョン
テン
テン
あなたはこれどう思う?
(なまえ)
あなた
うーん、その状況を見てる訳じゃないのでなんとも言い難いですが…

敵に統制が取れてきたことには間違いないんじゃないでしょうか
決戦は近いと感じます
テン
テン
なるほどねぇ賢いなあ
(なまえ)
あなた
直接見れたらもっと詳しく分かるんですけどね
ヤンヤン
ヤンヤン
あ!これから見回り行くんですけどあなたヒョンも来ませんか??
(なまえ)
あなた
へ?
ヤンヤン
ヤンヤン
だって、見た方が早いんでしょう?
(なまえ)
あなた
確かにそうだけど…
嫌かな、今日はちょっと死にたくない
ヤンヤン
ヤンヤン
死にませんよ!僕らが守りますから!!
テン
テン
いーよ、来なよあなた〜守るよ〜
(なまえ)
あなた
……分かりました
ご一緒してもよろしいですか?
ヤンヤン
ヤンヤン
やったー!
(なまえ)
あなた
ヤンヤンそろそろ離してくんない?


ヤンヤンは出会った時から今までずっと僕にコアラみたいにしがみついている


(なまえ)
あなた
歩きにくいよう
ヤンヤン
ヤンヤン
やですよ僕あなたヒョンのこと大好きですもん




しょうがないな…




母コアラの気持ちになってヤンヤンを背中に放置したままテンヒョンに着いていく



























迷路のような裏路地を、迷いもなくすいすいと進んでいく











見失ったら迷子になりそう













テン
テン
あなたは仕事はどう?
(なまえ)
あなた
昇格してからしばらく大変でしたけどだいぶ慣れてきましたよ

テヨンヒョンが倒れて、彼の仕事を手伝ったので昨日はあまり寝れてないです
テン
テン
あなたもちゃんと寝なよ〜
ヤンヤン
ヤンヤン
あー、テヨンヒョン
心配だなあ
テン
テン
この見回り終わったらみんなでお見舞い行こっか
(なまえ)
あなた
いいですね!行きたいと思ってました
ヤンヤン
ヤンヤン
じゃあ果物みたいなの買っていきま…
ヤンヤン
ヤンヤン
ヒョン
テン
テン
うん、いるね







…何が?













僕には何も分からないが、2人は何かを感じとっているらしい





2人の雰囲気が変わる






テン
テン
あなた、おいで
僕はテンヒョンの傍に駆け寄ると、銃を構える






ヤンヤンが僕に面を渡してくる




顔を見られないようにそれを付ける



(なまえ)
あなた
…!





遠くの路地の方から、大勢がゾロゾロとこっちに歩いてくるのが見える







やっと今目視で確認できたレベルなのに
この人たちは見る前から察知をしていた。

野生動物のような勘がすごい

























………数が多い



ざっと30人くらい







僕らの縄張りにこの人数で入って来るって事は相当なにか考えがおありなのでしょう










テンヒョンがさっきの口調とは全く違った、恐ろしく冷たい口調で口を開く



テン
テン
止まれ
テン
テン
ここは俺らの縄張りだ

そのまま後ろに下がれ。
前に出てくるようであれば殺す






だが敵はその言葉に笑みを浮かべると

挑発したように1歩前に踏み出し、




僕らの方向にすごい速さで迫ってくる












…あーあ、やっぱり


これだけの人数差ださぞ自信があるんだろうな








ヤンヤン
ヤンヤン
あなたヒョン、下がって!


僕は言葉の通り後ろに下がると




援護射撃をする













敵は相当この2人に対しての対策を組んできたみたいで、何となく筋を読んでるような印象がある






逆に僕がいることは想定外だったのだろう


弾道の避け方がぎこちない














するする動くテンヒョンとヤンヤンの間に


針に糸をように弾幕を張って
一人一人急所を外して撃ち抜く

















(なまえ)
あなた
こいつら、よく調べてますね
テン
テン
そうだね、でもまあ問題ないよ




そういうとテンヒョンはさらに加速する

それに触発されたように、ヤンヤンもさっきとは全く別の動きをし始める










自分たちのデータにない動きに敵が翻弄され始め、二人の鮮やかな業に伏していく















敵もあとわずかぐらいに差し掛かった時ヤンヤンがいきなりこっちを振り向くと







僕の顔の真横を、フェンシングのように鋭く突いてきた



(なまえ)
あなた
?!




ビュンと風を切る音と

肌で感じる風圧






後ろから何か生暖かいものがかかってくる








ヤンヤン
ヤンヤン
やーっと出てきたんだね。君が親玉?
ヤンヤン
ヤンヤン
僕らの大事なあなたヒョンを狙うなんて本当に最ッ低ですね




「ヒョン、おいで」

ヤンヤンが呆気にとられてる僕の腰に手を回してグイッと寄せる




ヤンヤンに抱きついたみたいになってる







僕は後ろを振り向くと、男が棍の先端に突き刺さっていた




降ってきた生暖かいものは男の血だった










ヤンヤンは僕を片手で抱きしめながら、もう片手で男を吊り下げた棍を持っている





抱きしめる力が強くて、少し痛い








テン
テン
はーあ、なんの用だよお前ら




全ての敵を倒し終わったテンヒョンが、ため息をつきながらこっちに向かってくる





テン
テン
あなた、怪我はなかった?
(なまえ)
あなた
はい、大丈夫です

お二人共ありがとうございます
テン
テン
いやいや、あなたもありがとね
援護助かったよ
テン
テン
さて、こいつだけど
ヤンヤン
ヤンヤン
ねー、おじさんどこの差し金?
(なまえ)
あなた
恐らくこいつもアヴィリオの下っ端ですよ
ほら、このタトゥー
(なまえ)
あなた
それにその顔、覚えがありますね
先日アヴィリオに吸収された小組織の輩でしょう

…僕らの首をアヴィリオに差し出して媚でも売るつもりでしたか?



男は一瞬驚いたような顔になるがそのまま僕を睨みつける

テン
テン
うわやだね、本当じゃん
ヤンヤン
ヤンヤン
ど〜するのヒョ〜ン
テン
テン
そうだね、この前僕達がした警告も聞かなかったみたいだし
テン
テン
「全員半殺し」かな
ヤンヤン
ヤンヤン
本当?!僕やっていい?!
テン
テン
どうぞどうぞ
(なまえ)
あなた
殺すなよ〜






ヤンヤンはひとしきり暴れ通すと、辺りは綺麗な赤色になる






ついて行って正解だった

その他にも結構収穫があったし








その帰りにテヨンヒョンのお見舞いにアジトに向う道中もヤンヤンはずっとくっついたままだ




































ヤンヤン
ヤンヤン
あ、ちょっとヒョンたち先行ってて!
すぐ追いつくから!






ヤンヤンside


















ヤンヤン
ヤンヤン
ルーカスヒョン!
ルーカス
ルーカス
YO!!ヤンヤン!
ヤンヤン
ヤンヤン
僕、あなたヒョンと任務行ってたんですけど、ちゃんとヒョンのこと守りましたよ!偉い?
ルーカス
ルーカス
ありがとうヤンヤン、god boy~~~
ヤンヤン
ヤンヤン
あなたヒョン、本当に可愛いですね

いい匂いがするし、優しいし…………
ヤンヤン
ヤンヤン
ねえヒョン
ヤンヤン
ヤンヤン
早く告らないと、僕が取っちゃいますからね?
ルーカス
ルーカス
え…?
ヤンヤン
ヤンヤン
うふふ、それじゃ















ルーカスヒョン…笑


冗談のつもりで言ったのに、本気な顔しちゃってかわいいなあ









あまりにも焦れったいからちょっと意地悪しちゃう

みんなに見えるようにあなたヒョンにベタベタしてたのもそれの一環



















でもあなたヒョンのことは本当に好き







優しいし可愛いのはもちろんだけど

そんな人の体に



無数の傷が刻まれてるのって
なんだかすごい興奮しない?











多分こんなにこと言ったら嫌われちゃうだろうけど










僕その赤い傷跡に生命力みたいなものを感じるし























とても儚げで美しいなって思うの

プリ小説オーディオドラマ