第97話

黎明
5,869
2021/04/22 14:55




















目覚ましを三段階にセットして、その3回目でやっと起きる

鏡の前に立って芸術的な寝癖を治し、顔を洗う






朝食は至ってシンプルで
今日はカフェオレにジャムをつけたトースト









スーツに着替えて身嗜みを整えて

玄関の前で香水を一振りする。




前まで香水なんて趣味はなかったが、誕生日に貰ったものが
なかなか僕好みの匂いだったから毎日つけるようになった












誰から貰ったっけ....





ああ、ルーカスだ











月桂樹の甘くて、その奥に苦味があるような爽やかな香りが

僕に合ってる気がする





























僕の仕事場は主に情報部長室



基本はそこで、情報部の大部屋や資料室行き来し、

場合によっては会議室と諜報部と参謀部に赴くこともある
















僕は部長室に籠るとパソコンを立ち上げ



煙草に火をつける






ストレス解消に吸ってるうちにかなりのスモーカーになってしまった

部屋に入ってくる夢っ子たちは特にタバコの残り香を嫌がってくるが
絶対やめたげないもん




一応部屋に来るとわかってる時は吸わないようにはしてるけどね。











前ジョンウヒョンに「一本頂戴」って言われた時はびっくりしたなあ



あんな顔して意外とそういうことするからもうあの人は読めない...
















そんなことを思いながら僕は仕事に取り掛かる







僕の今の主な役目はアヴィリオの情報収集。

そろそろ決戦が近いから
ここらへんはかなり敏感になって仕事に取り掛からなければならない。

解析したい、調べたい情報がいっぱいありすぎて






寝る間は愚か食事の時間さえ惜しい




実際その思いが行動に出てしまっていて四時間寝たら満足だし
ご飯も朝食べたっきりになることなんてザラだ





最近はもうこの部屋に篭りっぱなし

前久しぶりに外に出たら、気付いたら桜がただの葉樹になっていて驚いた
























ロンジュン
ロンジュン
ヒョン、奴らの動向はどうですか?


昼過ぎ、ロンジュンが部屋に入ってくる


この子はたまにこうやって僕に直接情報を聞きに来る







(なまえ)
あなた
なあに?なんか気になることがある?
ロンジュン
ロンジュン
ええ。ヘチャンが そろそろ動いてきた頃なんじゃないかなあ なんて気になることを口にしていたので気になって
(なまえ)
あなた
ははは、さすがヘチャン。ご名答だよ

さっき解析が済んだことなんだけどね
(なまえ)
あなた
奴らの武器売買の流れが止まった
ロンジュン
ロンジュン
....
なるほど
(なまえ)
あなた
ちなみに”北”だよ
ロンジュン
ロンジュン
...へえ、そういうことでしたか
有益です。ありがとうございます!
(なまえ)
あなた
いえいえ





さすがだなあ、あれだけで分かるんだもん

まあでも、ロンジュンもヘチャンには敵わないみたいだね


きっとヘチャンはわざとロンジュンの前で気になることを言ったんだろう

ロンジュンに僕から直接聞きに行かせるために





...あの小悪党、人をひょいひょいパシるな








この情報、ヘチャンはどう扱うかな


奴らのこの動向、もう決戦は近いよ。
きっと一週間以内に何かが起こる

















(なまえ)
あなた
ジェーノっ




僕が軽く呼びかけると


となりの資料室に引きこもっていたジェノが顔を出す







ジェノ
ジェノ
お呼びですか?ヒョン
(なまえ)
あなた
調べてたもの、見つかった?
ジェノ
ジェノ
はい、なんとか

奴らの購入形跡があった武器をリストアップしました
(なまえ)
あなた
んー!いい資料!
ありがとう。これ内部隊の幹部に回しといてくれる?
(なまえ)
あなた
それに諜報部にこの取引の内訳と対価の出所を調べるように依頼してくれないかな
ジェノ
ジェノ
了解しました、すぐやってきますね!





なんて仕事が早いんだあの子は



僕のやりたいことをいち早く察知して行動してくれる




おかげで作業が円滑に...

いや、円滑すぎて次から次へ仕事を進めざるを得ない







優秀すぎる補佐も考えものだな..笑





















こんな調子で朝から晩まで集中しっぱなし

元々一回集中したら周りの音が聞こえなくなるぐらい集中しちゃうし、
地道にコツコツやるのが好きな方なので

目的を達成するまで徹底的にやりたくなってしまうのだ






最近は闘争心からか特に熱が入って歯止めが効かない





もう気付いた今では首がバキバキに痛いし

ろくに寝食もしていないので体も重い


















少しリフレッシュでもしようかと







僕はすっかり冷え込んだ屋上への階段へ足を運ぶ

































真っ暗な外は朧月が綺麗な少し肌寒い春の夜だった

プリ小説オーディオドラマ