目を開けるとカーテンからの日差しが一番最初に入ってきた
もう昼近いのかもしれない。
起きたくても体がだるくて動くことさえままならない
上からいきなり聞こえ、顔を僅かにあげる
ぼーっとしていて気が付かなかったが
俺は小山に頭を抱えられて眠っていたようだ。
あの後..........っ!!
思い出した、俺は昨日小山に.....
昨日の吐き気が戻ってきた
クスクス笑いながら小山は言った
とにかく逃げたい
思い切り体を起こし逃げようとしたけど
すぐに小山に捕まり腕の中におさめられた
驚いたような、笑ったような声で言われた
理由なんてわかってるくせに
文脈あってないな、と思いながらもまた体を起こす
腰がだるく痛い
昨日と同じため息が背後から聞こえてきた
瞬間、頭を思い切り掴まれて無理やり押し倒された
呆れているのか怒ってるのか、あるいはどっちもなのか
もう1つため息をつくと文句を言いかけた俺の口を塞いだ
抵抗するにも手首をがっちりと握られて動けない
その時胃から何かが押し上げられる感覚にとらわれ
喉の奥に酸味を感じた
それは喉の奥では止まらず、塞がれている口から溢れ出てきた
空っぽの胃から出てきたのは胃酸だけだったが
その胃酸はベッドのシーツを派手に濡らし
特有の匂いが辺りに立ちこめる
我慢してたのに...............
濡れたシーツが気持ち悪かったが少し希望が芽生える
流石にここまで吐き出せば小山も....
だが、俺を見下ろしている小山は心配な表情と一緒に
何処か少し嬉しそうだった
嫌な予感、
小山は俺の唇を指で撫でると
そういってまた唇を重ねてきた
唖然としてされるがままになっていると
小山はにっこりと笑い
その言葉で画面に映る俺の姿が鮮明に思い出される
どうしよう.....俺、小山に....弱みを握られてしまった.............
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。