第67話

3,987
2021/03/28 12:46
あなた

近くなってきた






23:21


悠仁の残穢を追って私は渋谷を駆け巡っていた






虎杖悠仁
逃げろ!釘崎!


…っ!?





悠仁の声っ







あなた

下かっ!





声のする方へと足が動いた





目の前の階段を駆け下りると




悠仁と野薔薇の姿が見える
あなた

のば…ら?

釘崎野薔薇
あなたさん…
釘崎野薔薇
虎杖
釘崎野薔薇
皆に伝えて


そう言うと彼女は少し微笑んで
釘崎野薔薇
「悪くなかった」!
あなた

あ、…

虎杖悠仁
釘崎…
悠仁…




彼のその背中に近づこうとすると背後から耳障りな声がした






真人
やあ
あなた

あなた

お前かよ

真人
封印された五条悟の前で魂がグッシャグシャになってたのに、よく来たね
あなた

なんなの。お前

あなた

なにがしたいのよ

真人
正しさの押し付け合いさ
真人
虎杖悠仁は俺だ
真人
俺が何も考えずに人を殺すように
真人
アイツも何も考えずに人を助ける



そうか…こいつらも







それが例えペラッペラだとしても







正義を信じて戦ってんのか







あなた

少し…話をしようか




でも、やっぱり、君は間違っているよ







あなた






私は真人とその止まった世界で二人きりになった






彼は動ける。私も動ける。



動かないのは止まった世界





空気の流れも聞こえない空間で私は口を開いた





あなた

何か勘違いしているようね

真人
勘違い?
あなた

魂と、心の違いって…分かる?

真人
分かるよ
でも、人に「心」なんてない
あなた

どうかな

あなた

私はさ、ちょっとそこんとこバカになってるけど

あなた

悠仁は…悠仁にはちゃんと、ある

あなた

だから、貴方も生まれたの

真人
ねー、なんの話してるのか全然わかんない
あなた

「魂」それは一貫性があって、不動で、本来の姿を表すもの

あなた

それに比べて「心」は揺れ動き、色んなものに影響される

あなた

魂はさ、自身を守るために心をつくるんだよね

あなた

でも、君はそんな心を無視して魂に直接触れることが出来る
だから心が無いように見えるの

真人
何が言いたいの
あなた

何が正しい、何が間違っている

あなた

それ以前に

あなた

誰かを想って、喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんだり

あなた

そんな、儚くて尊い心を持つ人間悠仁が貴方に負けるなんてありえないって言ってんの

あなた

お前が思っている以上に





呪力は尽きた


時が動き出す








恵から受けとった呪具を握る力を強めた
あなた

命は重たいよ








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