2人が沖縄に行ったのが羨ましかったわけじゃない
いつの間にか2人に任務が入ってて
それが天元様のご指名だって聞いた
"2人"に入った任務
私には来なかった話
悔しかった。
自分の弱さは自分が一番知ってる
でも、それを他人から言われるのは話が違う
でもそれ以上に
3日も2人に会えないだけで
私は寂しかったんだと思う。
私が目にしたその光景は
私の脳が理解を拒んだ
口元に傷のある男が
その口元をニヤつかせて
背後から悟を一突き
何も聞こえない
虫の羽音も
鳥のさえずりも
木の葉の揺れる音も
風の音色も
悟の呼吸も
誰も動かない
何も動かさせない
その時初めて
私は時を止めた
その男と私しか知らない
止まった時間の中で彼をただ睨んでいた
その男は私の言葉を聞くなりスっと刀を悟から抜いて私に近づいてくる
そう言ったかと思えば私の頬にその手を添えて唇が重なった
あっという間に傑の出した大きな呪霊に伏黒甚爾は飲み込まれた
問題なくなんかないでしょ…この痩せ我慢め
悟のその眼は冷たい
あぁ、そっか…邪魔なんだ
私は
弱いから
私は傑に腕を引かれて走り出した
私の目に映る悟の背中が
私は少し怖かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!