第47話

信じてた
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2021/03/12 08:51


全てが終わった帰り道



私たちは寮まで3人で歩いて帰っていた










その時間は物理的時間ではあっという間のはずなのに
私の心理的時間では時が止まったかのように長かった




私を真ん中に3人で歩く
私の歩幅に2人は合わせてくれた







あなた

あ…



ぽつぽつと雨が降り出す空を見上げると同時に私よりも背の高い2人の顔もよく見えた




夏油傑
降ってきたね
あなた

そうだね、濡れないうちに早く帰ろ

五条悟
傑、傘もってねーの?
夏油傑
持っていないよ
夏油傑
あぁ、でも、確か

そう言うと、傑は呪霊をひとつ出した

魚のエイみたいな、平たくて、空を飛ぶやつ…




夏油傑
あなたも入るかい?
あなた

凄ーい!傘みたいじゃん

五条悟
まてよ
悟から急に腕を掴まれたと思った瞬間引き寄せられる
あなた

え?


私に降る雨が全部弾かれていく



あなた

わぁ!

夏油傑
悟。独り占めは良くないな
五条悟
なんのこと?


いつもの2人の雰囲気に表面だけでも戻ってくれるのが嬉しかった




私に気を使ったのかもしれない

ただ2人もあの沈黙に耐えられなかっただけかもしれない




夏油傑
あなた、どっちがいいか選んでくれないか?
あなた

へ?

五条悟
傑と相合い呪霊か、俺と手繋いで帰るか
あなた

は?

なんだその究極な2択
あなた

てか、相合い呪霊ってなにw

五条悟
相合い傘的な
あなた

なにそれw
じゃあ、あそこの電信柱まで悟と手繋ぐ

五条悟
は?
あなた

その後はあそこのポストまで傑と

夏油傑
私の方が短くないか?
あなた

信号あるからそれ次第だね

家入硝子
何やってんだ、バカ共
あなた

あ!しょーこ!!

家入硝子
はい、傘
あなた

え!天使!

五条悟
げっ
夏油傑
硝子…
家入硝子
ほら帰るよ
あなた

わーい




ずっとこの時間が続くと思っていた


ずっとこの3人と一緒にいるんだと思ってた




何も変わらないって、信じてた














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あなた

…は?

夜蛾正道
悟と同じ反応をするな。
あなた

いや、訳わかんないんだけど

夜蛾正道
何度も言わせるな
夜蛾正道
傑が



傑…







ねぇ傑?













なんで何も言ってくれなかったの?








私たちに何も…












そんなに頼りないかな

















ねぇ傑。





どのくらい時間を戻せば
あなた

傑は帰ってくる?







rrrrrrr










急に泣き出した携帯電話には彼の名前が表示されていた

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