悠仁が、何をしたというのか
何故こんなにも惨い地獄をなぜ彼が
冷たい地面に向かって叫ぶ少年に私はなんて声をかけるのが正解なんだろう
私の横を通り過ぎて行く彼の目は覚悟をもっているような…
追いかけなきゃ…
彼を1人にしちゃいけない
分かってる
分かってるのに
もう誰も失いたくないのに
今あの子の後を追わなきゃ
もう会えない気がした
なのに私の足は動こうとしない
…っ…悟?
過去へ戻って、足掻いても未来は変わらなかった
傑も悟も救えなかった
じゃあ、私はなんであの時、なんの意味があって飛んだの?
私はなんの為に存在してるの?
分からないことが多すぎて
何もかもが怖くて
私は、狂ったら止めてって…言ったんだよ
死んだんじゃないんだから…亡霊みたいに出てこないでよ…
そこにもう彼の姿はなかった
止まっていた足は前へ踏み出されていた
改造人間の死体の山
呪霊のようには消えないソレはやはり元人間とは思えない
その中に1つ…
見知った腕を見つけた
刀身がぐるぐる巻きの刀が握られた右腕
その近くに落ちている下半身に履かれているスーツも靴も
1級呪術師七海建人のものだと分かるのに
そう時間はかからなかった
誰もいなくなっちゃうよ
落ちていた骨の中で1番小さなものを自身のポケットに入れて、私は悠仁のあとを追った
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。