私はこれまでの事、悟の事を全て宿儺様に打ち明けていた
私の話が終わるまで真っ直ぐ私を見つめて静かに聞いていた宿儺様がやっと口を開いたかと思えば、そんなことを言い出したのだ
少し視線が和らぐと、その顔はほんの少しだけ優しくなった気がした
私にしか見せない
私しか知らない
宿儺様の顔
ああ、やっぱり、この人が呪いの王だなんて、嘘だな
こんな優しい顔を向けるのは私にだけかもしれない
でも、私にだけでもこんな顔するんだから…
その顔に私は微笑み返してそっと唇を寄せた
2018年 10月 31日 22:42
今度は記憶もしっかりしてる
飛ぶのが上手くなったかな
どこだ…ここ
恵!?
戦ってる相手…は…
…っ!?
今の気配っ
宿儺様?
指か?誰だ、何が起きてるの?
ボッ!!
グンッ
キンッ
スタッ
ガクンッ
大丈夫…ちょっとかすっただけ
左脇腹から流れる血…
飛びすぎたのだろう…確実に呪力が減っている
恵の影から出てきた呪具を手にして構える
ゴリッ
彼は自身の頭部を刺し口角を上げた
私には、彼が優しく笑っているように見えた
ちゃんと、"父親"なんですね
ドサッ…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!