知らない声が聞こえてゆっくりと瞼をあげる
高校生くらいの制服を着た男の人が2人、同時に話しかけてくる
血まみれの部屋を見渡してそう答えた
私は耳を疑った
聞き覚えのある苗字
訳も分からず震えながら自分の名前を言った
五条悟が自身の来ていた制服の上を私の肩にかけた
私の服が返り血で染っていたからだろうか
その後は大変だった
2人に連れられて変な学校のような所に来たかと思えば色んな人に連れ回されて、色んな人と話してやっと解放された時には夜が明けていた
そう言って先を歩く彼の後ろをついていく
同じ苗字でも、血の繋がりはないという事実をさっき私も聞いたけど
実際のところ父は幼い頃に病死しているのでよく分からない
たった1人の家族だった母もいなくなってしまった今、私の家はない
コンコンッ
悟が急に止まって目の前のドアをノックする
私の顔を見て部屋から出てきた女の人は目を丸くした
それから私は特別に高専で1年生として3人と一緒に行動することが増えた
それまで私には関係ないと思っていた呪いの世界は残酷で仕方がなかったけれど、3人といるとそんなことも忘れられた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!