第48話

夏が終わった
4,972
2021/03/10 23:24


電話の向こうで話す彼は落ち着いていた






あなた

📞なんで?

夏油傑
📞術師だけの世界が作りたいんだ
あなた

📞そんなこと…

夏油傑
📞あなたもくるか?
あなた

📞え?

夏油傑
📞いや、前言撤回だ。
君を危険な目には合わせられないな
夏油傑
📞好きだ
あなた

え…

夏油傑
📞あなたのことを私のものにしたいとずっと思っていた
夏油傑
📞私の夢が叶ったら迎えに行かせて貰えないか?
あなた

何言って…

夏油傑
📞猿のいない、私の思い描く世界だ
あなた

傑?




落ち着いていたと思っていたその声が怖かった


落ち着きすぎている



発している音はとても怖いのに
傑が私の知ってる傑じゃない
あなた

📞私も、好きだったよ

あなた

📞私のことバカにする悟怒って、よく火忘れる硝子の為にライター持ち歩いて、私が辛い時は慰めてくれるのが傑だった

あなた

📞疲れちゃったんだよね?そうなんでしょ?
じゃあ私のせいだ。傑は私のせいでおかしくなっちゃったんだ

夏油傑
📞あなた…それはちが
あなた

📞だから、私が責任とるよ

夏油傑
📞すまなかった。あなたには理解して貰いたかったんだけどね
あなた

📞悟が出来なくても、私が殺すよ

夏油傑
📞そうだね、好きな子に殺されるなら本望かな
あなた

📞悟には、まだ会ってないの?

夏油傑
📞これから
あなた

📞そっか



ずっと。


ずっと思ってた




悟から、傑を取っちゃいけない
傑から、悟を取っちゃいけない



って



でも今、傑が自分から悟に離れていってしまうなら、







悟の隣、私が代わってもいいよね?













夏油傑
📞悟をよろしくね
あなた

📞…っ





そう呟いて、携帯からは電子音が鳴り響いた











あなた

なんでこの世界は…こうも理不尽で、イカれているんだろう









2007年 9月






初めて呪術師を辞めたいと思った




高専最後の夏が終わった








私の頬に伝うソレの原因はなんだろう

溢れてくるコレはなんなんだろう








床にこぼれ落ちると同時に後ろから優しい香りに包まれていた





























五条悟
逆だなw
あなた

何が?

五条悟
いつもは俺がいじめて傑が慰めんのに
あなた

いじめてる自覚あったんだ

五条悟
うるせーな、俺は好きな子いじめたいタイプなの
五条悟
知らねーの?
あなた

は?それ自分で言う?

五条悟
傑に言われて気づいた
あなた

そんなんじゃ、好きな子に嫌われちゃうよ

五条悟
じゃあ、お前、俺の事嫌いな訳?
あなた

私は悟のこと嫌いになんかならないよ

五条悟
なら問題ねぇじゃん
五条悟
俺、お前にしか興味ねぇし
あなた

本気で言ってんの?

五条悟
こんなタイミングでごめん
別に傑の代わりとか、穴埋めとか、そんなんじゃないの、分かって欲しい
あなた

分かった



私が珍しく素直に頷くと後ろから抱きしめられてたのが正面に向き直る










悟のサングラスの奥にある蒼い瞳は真っ直ぐに私を見ていた












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