あれから自分でも驚くほど、月日が経っていた。
こんな僕でも、たくさん変わったはずだよ。
ただ一つだけ何も変わっていないのは
僕の記憶の中の君。
たったそれだけ。
でも、そのたった一つをどうしても忘れられないんだ。
また寒い冬がきたんだよ、僕の元へ。
1年前と全く同じ場所で待っていれば、君は僕の元へ来てくれないかな。
まだ、まだ来てくれないかな。
ねえ、もう僕はたくさん待ったはずだよ。
忘れちゃったの?
また明日って、笑いかけたくせに。
君は今でも美しいままかな。
そうあってほしいよ。
君が笑えているならそれでいいのかな。
僕の心は少しだけ大人になれた気でいる。
ずっと、この虚しい気持ちを無視してるだけなんだけどね。
君の居る場所は、ここと同じように寒いかな。
君の記憶に、少しでも僕は入れたかな。
せめてでも、美しいままの記憶で流されていたら幸せだよ。
今日も同じ場所で振り返って見たけど、当たり前のように君は現れなかった。
僕に当たる冷たい風は、早く前に進めとでも言うかのように強かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。