第14話

9.
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2021/03/06 06:36


あれから自分でも驚くほど、月日が経っていた。

こんな僕でも、たくさん変わったはずだよ。

ただ一つだけ何も変わっていないのは

僕の記憶の中の君。

たったそれだけ。

でも、そのたった一つをどうしても忘れられないんだ。


また寒い冬がきたんだよ、僕の元へ。

1年前と全く同じ場所で待っていれば、君は僕の元へ来てくれないかな。

まだ、まだ来てくれないかな。

ねえ、もう僕はたくさん待ったはずだよ。

忘れちゃったの?

また明日って、笑いかけたくせに。
スングァン
スングァン
…寒いな、
君は今でも美しいままかな。

そうあってほしいよ。

君が笑えているならそれでいいのかな。

僕の心は少しだけ大人になれた気でいる。



ずっと、この虚しい気持ちを無視してるだけなんだけどね。

君の居る場所は、ここと同じように寒いかな。

君の記憶に、少しでも僕は入れたかな。

せめてでも、美しいままの記憶で流されていたら幸せだよ。




今日も同じ場所で振り返って見たけど、当たり前のように君は現れなかった。

僕に当たる冷たい風は、早く前に進めとでも言うかのように強かった。

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