すきだよ。
その言葉が聞こえた時には既に、君の腕の中に居た。
僕はまだまだ子供だったみたい。
涙を流しながら必死に訴えた。
これまで僕がどれだけ君を想ったのか。
もっと上手く綺麗に伝えたかったのに…
まだまだ子供な僕には無理だった。
僕はまるで駄々をこねる小さな子みたいだ。
それでもいい。
このどうしようも無い気持ちを伝えることが出来たんだから。
僕の背中を撫でながら涙を流す君は、
本当に…ずっと、世界一美しいよ。
珍しく不器用そうに僕を弱々しく見つめてくる君に
もちろん、嫌いだなんて言えるはずがない僕は
素直じゃないけれど、気持ちを伝えた。
ずっと僕の肩に顔を置いて頷くだけ。
本当に可愛くて、大切にしたくなる。
ある日、初めて君と出会ったこの場所。
君がいきなり居なくなったこの場所。
そして僕の元に舞い戻ってきたこの場所。
本当にこんなにも一瞬で、美しい青春は最初で最後だった。
僕がこんなにも愛せるのはたった1人だけだよ。
今日も相変わらず、
この世話焼きさんと一緒に過ごしている。
本当に幸せで幸せで堪らない。
愛してるよ、ずっと。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
END.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!