眩しい日差しで目が覚める。
ん、もう朝が来たの、?
僕は眠たい目をこすりながら重い体を起こした。
でも今日はいつものどんよりした気分が無かった。
それは朝からだいすきな人に会えるから。
毎朝、憂鬱だったこの時間が今日だけは幸せに思えた。
早く、約束した時間にならないかな。
マイペースな君は、寝坊したりしないよね?
ちゃんと今頃、僕と同じように準備してる?
頭の中は君のこと以外何も考えられない。
あと1分…、あと1分で家を出よう。
僕はじっと時計の針を見つめる。
あまり早くに行き過ぎてあれだし…、
だからといって待たせるのはもっとやだな。
そう思いながらも僕の足は進んでいく。
気がつけば玄関に居て、約束した場所に向かっていた。
入学式よりも緊張して登校している気がする。
ちゃんと、きてくれるかな。
マイペースすぎる君は、少し心配になる。
そしてやっといつもの道へ着いた。
居るかな…、いやまさか、まだ来てないよな。
そして僕は1人の後ろ姿に目が止まった。
まさかだけど…あれ、ボノナじゃないよね?
僕より先に居ることなんて…ありえない、はずなのに。
誰がどう見ても、、ボノナだ。
僕は足取りを速くして駆け寄った。
声をかけたと同時に、振り向いたのはやっぱり僕のだいすきな人だった。
朝から相変わらずのかっこよさで笑う君。
あぁ、これは誰が惚れてもおかしくないな。
僕は改めて痛感した。
今日も君の笑顔には余裕がある。
僕なんかとは違って、本当に雰囲気から大人びいてるな。
あぁ、もうどうして君は朝から僕をドキドキさせるの?
顔が熱くなっていくのが分かった。
…本当はあの女の子達が、好きじゃない。
だって、初めてボノナの友達になったのは…僕なのに。
初めて話したのは僕なのにって、醜い感情が溢れてくる。
ごめんね、素直に喜べない。
ボノナの新しい人との出会いを僕は隣で喜べないよ。
そんなくだらない事を考えながら君と歩いた冬の朝。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。