あれから少し落ち着いて、僕達はベンチに座った。
未だに何も追いつけない僕は、
ただただ成長したボノナを見て緊張しているだけ。
珍しく余裕の無さそうな君を見た。
何故か、僕は怒りという感情は無かった。
それはきっと、君があまりにも美しいから
儚く消えていくことにあまり不思議さを感じなかったから。
僕の夢の中の話のように感じて…、
ただ幸せだった時間が蘇るだけだったんだ。
ボノナのどこか悲しそうな笑みが僕を引きつける。
言う通り、僕は大人ぶってるんだよ。
本当なら今すぐにでも泣きじゃくって抱きしめたい。
悲しかった、寂しかった。
会いたくて堪らなかった。
でも…、僕だって少しは成長してるのを見せたい…笑
そうに決まってる。
だから…僕は好きなんだよ。
何も変わらない、真っ直ぐな君がだいすき。
あぁ、馬鹿だ。
なんか、勝手に涙が出てくる。
もう涙脆いんだよ…、
別にもう変な感情は出さない、はずなのに…
目の前に居ても遠く感じる。
涙が溢れて、恥ずかしくて
僕は下に俯いた。
まだまだ子供だって…思われるかな。
そう聞こえた瞬間に、僕は抱きしめられた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!