第16話

11.
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2021/04/04 02:42


あれから少し落ち着いて、僕達はベンチに座った。

未だに何も追いつけない僕は、

ただただ成長したボノナを見て緊張しているだけ。
バーノン
バーノン
…スングァナ?
スングァン
スングァン
ん…?
バーノン
バーノン
…その、怒ってる、?
スングァン
スングァン
え?
バーノン
バーノン
俺が…突然、居なくなったから、
珍しく余裕の無さそうな君を見た。
スングァン
スングァン
…ううん、笑
何故か、僕は怒りという感情は無かった。

それはきっと、君があまりにも美しいから

儚く消えていくことにあまり不思議さを感じなかったから。

僕の夢の中の話のように感じて…、

ただ幸せだった時間が蘇るだけだったんだ。
スングァン
スングァン
…まぁ、寂しかったのはあるよ?
バーノン
バーノン
…ごめん、
バーノン
バーノン
俺も…、ずっと会いたかった、
スングァン
スングァン
っ…、僕も。
スングァン
スングァン
その…、どうしてボノナは急に居なくなったの?
バーノン
バーノン
…ある日、いきなり父さんから1年間アメリカに戻ることになったって言われて
バーノン
バーノン
俺は当然、反対したんだけどもう決まってたことだったみたいで…、何も言えずに連れて行かれた。
バーノン
バーノン
本当に…、ごめんね、スングァナ。
スングァン
スングァン
そうだったんだね。
スングァン
スングァン
ううん、今会えて嬉しいよ。
バーノン
バーノン
…大人になったね、笑
スングァン
スングァン
…そうかな 笑
ボノナのどこか悲しそうな笑みが僕を引きつける。
バーノン
バーノン
…あんなに無邪気で幼かったのに 笑
スングァン
スングァン
僕は大人ぶってるだけだよ 笑
言う通り、僕は大人ぶってるんだよ。 

本当なら今すぐにでも泣きじゃくって抱きしめたい。

悲しかった、寂しかった。

会いたくて堪らなかった。

でも…、僕だって少しは成長してるのを見せたい…笑
スングァン
スングァン
ボノナはいい意味で変わんないね 笑
バーノン
バーノン
そう…?
スングァン
スングァン
うん
そうに決まってる。

だから…僕は好きなんだよ。

何も変わらない、真っ直ぐな君がだいすき。


あぁ、馬鹿だ。

なんか、勝手に涙が出てくる。

もう涙脆いんだよ…、

別にもう変な感情は出さない、はずなのに…

目の前に居ても遠く感じる。
バーノン
バーノン
スングァナ…?大丈夫?
スングァン
スングァン
ご、ごめっ…、
涙が溢れて、恥ずかしくて

僕は下に俯いた。

まだまだ子供だって…思われるかな。
バーノン
バーノン
…すきだよ。
スングァン
スングァン
…え?
そう聞こえた瞬間に、僕は抱きしめられた。

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