第3話

その3
1,305
2018/04/08 02:45
あの一件以来、なるべくあの隣人と関わらにようにあたし頑張ってます。




「よし、いない」



玄関から周りを見てあの人が居ないのを確認してから外に出た、筈が。



「あ、あなたおはよう」


「…」


「頼むから無言で部屋戻るのやめてくんない」



「何か御用ですか?」


「うん、用がありすぎる」


「なんですか」


「なんで俺の事避けるの?」


「いやいや、当たり前でしょう」


「酷いなー」



ふんだ。


そんな可愛く頭傾げられてもあたしには全然ききませんよーだ。



確かに目を覆いたくなる程の破壊力がある事は認めるけども。



だけどこれぐらいじゃあたしはなびきません。




「あたし、あなたみたいに軽い男は嫌いです」


「え?俺軽くないよ?標準的な体型だと思うけど」


「言ってる意味が全く違います」



駄目だ。この人のノリについていけない。



顔はお世辞抜きでめちゃくちゃ格好いいけどなにかが可笑しい。




「あ、そうだ。あなたいまから俺の部屋来る?」



「あなた私の話きいてましたか」



「じゃなきゃ俺寂し過ぎて死んじゃうかも」



「勝手に言ってろ」




駄目だ。この人と話した所で全く持って意味を持たない。



ぐわんと頭が痛くなるのを我慢してあたしは勢いよく自分の部屋へと戻る。




「最悪だよ、今日は買い物行こうと思ってたのに」



せっかく久しぶりの休みなのに家にいなきゃいけないなんて。



ああもう!



「これもぜーんぶあの変な隣人のせいだ!」




なんて玄関先で地団駄を踏みながら言葉にならない声を出していたときの事だった。




ガタンッ!




「え、なに今の大きい音」



突然鼓膜に響く程の大きい物音が外から聞こえてきたのである。



「なんだろうこのもやもやした感じ、」



外に出たらまたあの隣人にしつこく絡まれるに決まってる。



そう頭では分かっていた筈なのに私は気がついたら物音のした外の方へと飛び出していた。

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