第51話

記憶
3,349
2022/04/14 14:46
まこっちゃん
あなたさん!!!
ずっと走っているあなたさんに呼びかけると


あなたさんは膝から崩れ落ちた
すぐに駆け寄ると
拳を力いっぱい握りしめ大粒の涙を流していた
まこっちゃん
あなたさん…
あなた

なんでっ…泣

あなた

なんでかなぁ…泣

ほくちゃん
あなた…
あなた

壱馬が起きてくれて嬉しいはずなのに…泣

あなた

なんでこんなに悲しいのかなあ…泣

まこっちゃん
……
何も言えなかった
ただ自分の未熟さにイラついて拳に力が入るだけだった
数分間じっとあなたさんを見つめることしか出来なかった
すると陸さんが来た
りっくん
あなた
あなた

グスッ

りっくん
ここは邪魔になるから少し移動しよう
そう言って優しくあなたさんの腕を取った
そのまま中庭に行って腰掛けた
りっくん
いい話と悪い話両方あるんだけどね
りっくん
いい方は体に何も後遺症が残ってないって
あなた

…そっか

りっくん
そう、で、悪い方は









りっくん
あなたとの記憶が全くない





あなた

っ…

そう聞くとあなたさんは悔しそうに唇をかみ締めていた













まこっちゃん
僕、本で読んだことがあるんです








まこっちゃん
思いが強い人の幸せな記憶ほど、消えやすいって






まこっちゃん
だから壱馬さんあなたさんのこと誰よりもずっと思いがあったんだと思います










あなた

そっか…










また涙が溢れてきて














あなた

こんな悲しい思いするならそんな思いいらなかったのにっ…泣

そうそっと口ずさんでいた

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