👇👇どうぞ♪👇👇
は、
だろ…………?
……お願い……………!!!!!!!!!!!!
頼む。頼むから。
もうどんなものも要らないから、、
今日で俺の人生が終わってもいい。炎上したっていい。もう何も要らないから。
だから。
頼むから、目が覚めてくれ………………
途中でふと目が覚めて、あぁなんだ夢だったのか、
そんなありがちなシーンを俺にくれ。頼む。
途中で、あぁでもと気が付いた
莉犬はもう知ってるはずだ。だから、今一番辛いのは莉犬なんだ。
俺は悔しさと悲しさと切なさと戸惑いと疑問でいっぱいいっぱいになった。もう耐えられない。
そのままその場にしゃがみこんだ。
あぁもう、
ダメだ、
目を瞑り、暗くなったはずの視界が真っ白に染まり、意識が遠のいていくのが分かった
莉犬、
お前は今、どんな気持ちなの?
〘莉犬視点〙
「今夜が最後です」
医者にそう言われた
あぁやっぱり奇跡は起きなかったかぁと、
簡単に納得し、簡単に理解し、簡単に諦め、ベットに体重を預け直した
悲しくはなかった。
…でも、どうかな
本当はどこかで”悔しい”と思っていたのかもしれない
意地っ張りな俺は、こんな時でも”悔しい”ことを認めたくなかった
一番辛かったのは、俺の人生がここで途切れてしまうことじゃない
俺の、俺とさとみくんのために、わざわざ遠くからライブを楽しみに待ってくれていたリスナーの子達を裏切ってしまったような罪悪感だけが俺の胸を苦しめた
それ以外は、あまり苦しく感じない。
みんなは死にたくないやら楽しく生きたいやら一度の人生やら色々言ってるけれど、俺は死が全く怖くないんだ
━━何故かって、そんなの
人には”来世”があるんだ。一度きりの人生なんてそんなちっぽけなものじゃない。自分の身体が跡形もなく消えてから、何年も何年も経って、神から命を受け継がれるのだと、
俺はそう信じてる
こんな事言ったらみんなに子供っぽいと馬鹿にされるだろうから、まだ誰にも言っていない
確かに子供っぽい。分かっているけど、俺は信じているんだ
ぼーっと白い天井を眺めながらそんなことを考えていると、ガラガラと部屋の隅の扉が空いた
医者は感情の無い、ただ任務を果たしているだけと言うような表情で言った
医者の後ろから、るぅとくんが入ってきた
るぅとくんは泣いても相変わらず整っている瞳を真っ直ぐ俺に向けて、言った
長い腕が、するりと俺の首に回された
病状も回復して充分に動けるようになったので、それを振り払うことも出来た
だけど、しなかった。
るぅとくんの俺の耳元で囁くように言った言葉は、想定もしていなかった
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るぅとくんは訳も分からず戸惑ってただ口をパクパクさせている俺を見て、くすりと笑った
そして、無意識に下した決断を無意識に言おうと口を開きかけた時、
るぅとくんが俺の口を、大きな手でそっと塞いだ
…あれ、
俺……
━━━━俺、なんて言おうとしたんだっけ…
るぅとくんがぐっと俺に顔を近付けた時、
ガラリ…
さとみくんはるぅとくんの体制を見て、かなり怒っているような顔をした
そして、るぅとくんがはっと我に返って体制を直した時、さとみくんの背後からみんなが入ってきた
俺は笑った。心の底から、みんなを安心させるような笑顔で言った。
あぁ、俺、、
声ってこう出してたんだ……
約一週間ぶりに出した俺の声を聞いて、みんなは堰を切ったようにぽろぽろと涙を零した
さとみくんは叫ぶようにして、俺に抱きついた
俺はそっと、手でさとみくんの口を塞ぎ、人差し指を口元に立てて「しーっ」と黙らせた
するりと口から出た言葉に、俺はもう驚かなかった
俺は。
俺は、さとみくんの事が……
さとみくんの首に手を回し、自分の口元へ近付けた
誰が何を言うよりも先に、そのぽかんとした口を塞いでみたくて。
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るぅとくんは照れくさそうに笑った
なーくんは、俺の手を両手でぎゅっと持ち上げた
うるうると輝いていたなーくんの目から、涙が一滴、ぽろりと零れた
だけどなーくんの表情は、目を細めてにっこりと幸せそうに笑ったままだった
俺こそ、
なーくんの後に続いて、ころちゃんが俺のもう一方の手を握った
俺は止まらない涙を必死で拭うころちゃんの頭を撫でようとしたけど、両手は塞がっている状態だったので、そっと笑った
そして、るぅとくんとジェルくんがころちゃんに続いて話し始めた
小さいは余計だよ、いつもならそう言っていたけど、今回ばかりは大人しく聞いていた
ずっと一緒にいてくれてありがとう、そう言って俺は笑った
このままだと一向に止まりそうになかったから、俺から切る事にした
…全く。
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俺は手を伸ばし、さとみくんの頬をそっと撫でた
━━━━━━━ピーッ。ピーッ。
ピーーーーーーー…………………
”最後”に感じたのは、そっと被さる柔らかい唇の感触だけだった。
「ありがとう」
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いよいよ、ライブ当日。
軽くメイクをし、パーカーに着替え、俺はドアに体当たりした
会場に着くと、スタッフが軽く「遅刻ですよ」といつものように受け流し、楽屋へ案内された
もう一度メイクを被せ、既にロッカーに用意してあった衣装に着替え、楽屋から飛び出した
カウントダウンまで待機していると、リスナー達のざわめきが聞こえた
一瞬怯んだ俺の心はすぐにどこかへ行き、俺はすっと立ち上がり、前を向いた
10……
俺の愛する大切な仲間へ。
9……
言葉に出来ないほどのこの想いを、今歌にして届けよう。
8…………
時には喧嘩したり、お互いの気持ちがすれ違うことだってあったけれど。
7……
あいつは絶対、俺の気持ちを破るようなことはしなかった
6……
俺はいつも、助けられてばっかりだったけど。
5……
━━━━━━やり逃げで済むと思うなよ、
4………
俺はもう一度目を瞑り、力強く胸を叩いて、
3……
出来る、出来ると自分に言い聞かせた
2……
今度は、俺の番だ。俺がお前に恩を返す番だ。
1……
精一杯胸を張り、俺は俺を待つ奴らの元へ駆け出した
あまりにも多かった観客に驚き、挨拶の代わりに声が枯れるほど、俺は叫び歌った
━━━━愛する人よ、
俺の声が……
「聞こえますか」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。