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それは昨日の出来事だった。
俺は莉犬と二人の放送の約束をして、莉犬の家へ向かっていた
そしていつも通り、横断歩道を渡っていただけなんだ
それなのに…………
あいつが、あのバカが…俺を守ったりなんかするから
こんな思いするくらいなら、怪我した方がマシだっつーの…!!
本当は、そう大声で叫びたかった
だけど、
あいつの必死に偽る笑顔と、か細い声は
怒りと、苦しみと、悔しさと、悲しみでどこの隙間もない俺の心を少しだけ癒してくれた
……違う。そうじゃない。甘えんな俺…
目が覚めると同時に、口から零れてしまった言葉。
その時、ふと暖かい気配を感じた
顔を上げると、そこには目を細めてこちらを見ている莉犬の姿があった
莉犬の笑顔なんて、久しぶりに見た
…いや 俺が勝手に久しぶりに感じてるだけだ
ごめんな、俺のせいで。
俺のせいで、
そう言いたかった。
だけど、
俺が犯した罪に莉犬が巻き込まれた時、俺のせいでごめんな、そう言うと莉犬はいつも怒る
「誰かが関わってる罪に”誰のせい”なんてないし!」
コイツ何言ってんだ、と最初は理解が出来なくて吹き出してしまった
ちらりと、莉犬の表情を伺う
まだ、ぎこちなく笑っていた
思うように喉が動かない悔しさと、俺のことを恨まずに固く笑う莉犬を見て、堰を切ったように涙が溢れ出した
子供のような声を上げて、泣いた。
我慢なんて出来なかった。
いつも最年長の俺は、なーくんと一緒にすとぷりを支えていかなければならなかった。
そんな。そんなキャラの奴が。どうやってこのガキみたいな素を曝け出してみんなの前で泣けって言うんだよ。
だから、
莉犬の前だけでは、いつも遠慮なく泣いていた
でも、声は変わっていた。
本当の”俺”で泣いたのは、これが初めてかもしれない。
素の声を押し殺して泣きじゃくる俺の手を、莉犬はいつも黙ってそっと握ってくれていた。
力の籠る莉犬の手は、
悔しいほど暖かくて、
心地良かった。
だから、伝わってくる
今は、莉犬の手は俺には届かない。声だって出ない。だけど、伝わってくる
俺が選んだ、俺が一番大好きな莉犬の温もりと、慰める声が。
ガラガラガラ…
いつの間にか抱き締めていた莉犬の首から離れながら、扉に目を向ける
そこには、あいつらが立っていた
俺に、最高の居場所をくれたあいつらが。
真っ先に莉犬に飛びついたのは、ころんだった
みんなが次々と、薄れてゆく莉犬の名前を呼ぶ
ああ、俺、今どんな顔してんだろう………
俺も含めたみんなの表情は、
まるで、今夜が莉犬の最後の日になるような。
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🍓ここまで読んでくれてありがとう!🍓
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。