ピコン とスマホの通知音がなった。
『今度の日曜、デート行かない?』
彪翔先輩から!?
デートなんて一回もした事ないよ……
『都合悪い?』
『いえ!全然大丈夫でふ!』
あ……
早く返そうとして焦っちゃった。
『間違えました!大丈夫です!』
『可愛い』
可愛い?
そしてお腹を抱えて笑っているスタンプが送ってこられた。
『そんなことないですよ!』
それから、メッセージを交わし、水族館に行くことになった。
水族館デート……
どんな服を着ていけばいいんだろう。
紗月……には聞けない。
私は一人っ子だから、お姉ちゃんもいないし。
でもお母さんにも聞けない。
あ、ひーちゃんに聞こうかな。
ひーちゃんと言うのはいとこで、私のお姉ちゃん的存在。
陽葵だから、ひーちゃんと呼んでいるんだ。
『ひーちゃん、水族館デートってどんな服を着ればいいの?』
そう送ると、すぐに返信が来た。
『何!?彼氏でもできた!?』
『うん…』
そんなに驚くことかな。
高校生だし、彼氏できてもおかしくないと思うけど……
『よし、いつ?』
『今週の日曜日!』
『なら、土曜日服買ってあげる!』
えっ!?
買ってあげる!?
『そんなの申し訳ないよ!お金は自分で出す!』
『いいのにぃ……まあでもそこまで言うなら……』
あ、これはお小遣いが少ない時だね。
ちょっと見栄張っちゃったけど、お金がない時はすぐに"そこまで言うなら"って折れるの。
でも……一緒に選んでくれるだけで助かる。
よかった……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。