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第1話

1,115
2018/05/08 11:53
お母さんが泣いてるんだ。
《あんたのせいであんたのせいで》
ぶつぶつ独り言ばっかだったから
リンクへ滑りに行こうと
靴と着替え、それとタオルを持って
出て行こうとしたら
《待ちなさいっ!》
止められて
【パチンっ】
鋭い音が部屋を響かせる
その時叩かれた頬はとても痛かった
でも俯くしかできなかった
ごめんなさい
そう謝って家を出て、
リンクで滑り始める
頭の中だけで響く音楽が
おかしくてたのしくて
夢中で滑り込む
このリンクはパパの私有物だから
いつでも滑って良い。
でもその日は誰かに貸す約束をしてたみたい
とっても綺麗な男の人が後から来てたみたい
私が滑り終わった後に拍手をした人と

無言で音楽を聴きながらストレッチをする少年
驚いて視線を向ける。
とってもとっても楽しそうだった
私もその人みたいになりたくて
その日から練習に励んだ
元々大好きだったからそんなに苦しくはなかったし
ただ、それでも続く両親の暴力に
耐えきれなくなったら考えてた
その人達と会う夢を
後から母に聞かされたんだけど
その人達はスケートを本格的にやってる人なんだって
追いつきたくて努力を重ねて
努力は実ってファイナルワールド大会へ

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