10分ぐらい経ってやっとなのは落ち着いた。
目が真っ赤だ。
なにかを伝えようとしてくれてるんだな……。
わたしにはそう分かった。
予想外だった。
衝撃だった。
なのはあきのことを好きなんだって思ってたから。
ううん、それだけじゃない。
むしろそっちより……
"同性"のなのが"同じ性"の私を好きって言ってくれたこと、だった。
ぼそっと言った。
よく考えたらこんなこと言ってはいけなかったとおもう。
なのはドアをバタッと開けて出ていってしまった。
声になってないような空気みたいな声は届かなかったみたいだ。
なののこと追いかけることができなくて背中を見つめるしかできなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!