ギロりとわたしを睨んだ男は私の目の前まで迫ってきた。
繰り出される蹴りを交わそうとしたけれど、白いスカートとヒールが邪魔になり、私のお腹にヒットした。
なに、こいつ
蹴り飛ばされて、壁に激突した私は呼吸を整えながらまた立ち上がる。
こいつ…普通じゃない。
ヒールだからって、スカートだからって私が反応するのに遅れるなんて…
元特殊部隊か軍人といったあたり…?
やっぱりこいつが犯人…
田辺を無視して攻撃を仕掛けに行く。
だけど田辺もすぐに逃げる。
私たちは4階を離れ、3階まで来ていた。
何か、何かないの…!
あいつを捕まえるのに役立つ何か!
田辺はキッチン用品売り場へ逃げ込んだ。
お皿が散乱している道をゆっくり進んでいく。
どこにいるの…
いきなり、キッチンのサンプルのあいだから田辺が飛び出してきた。
一瞬、ほんの一瞬反応が遅れてしまった。
私は口を塞がれ、腕は後ろに回された。
そのまま奥へ引きずられた。
私の口にタオルを巻き付けて、声が出せないようにし、腕にはどこから持ってきたのか縄を巻かれた。
押し倒され、服を脱がされていく。
このままじゃヤラれるっ
紫耀!
早く来てっ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!