俺は…できるんだ…!
そう思ってカバンを持ち、
子犬のように走った。
俺は今から俳優のオーディションを受ける。
俺は昔、戦隊ヒーローに憧れて俳優になると言って何もしてこなかった…
だから…!
俺は兄ちゃんが亡くなったから、その気持ちはよく知っている。
簡単だ!
そう思っていた…
カタカタ…
自分の演技に自信がなくて、声も震えて体も強張る。それ以上にダメだったのが顔だ。
今の俺は悲しんでいる顔じゃない
…
ぐっ…
〜塾〜
〜帰り道〜
やっぱり俺…ダメなのかな…?
ゴロゴロ…
ザーーー
雨が降ってきた。
冷たい雨粒が頬に触れた。
でも、
頬を流れ落ちて行ったのは、
雨だけじゃなかった。
〜家〜
目が腫れてる…
…やっぱ、俺ダメなのかな?
やっぱ、やっぱ恥ずかしい。
でも、…でも…!
諦めたくない…!
バンバン!
俺は胸を叩きながら言った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
兄ちゃんはもういないけど、俺にはそう言ってる兄ちゃんが見えた。
俺は…
2人「どんなに転んでも
何度だって這い上がるさ
そうさ、僕たち敗北ヒーロー
前を向いて…
進め…!ヒーロー…!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。