第3話

双黒の想い
中也 side

なあ、手前は忘れたかも知れ無ェ卦度よ、俺は全部覚えてンだぜ。
手前が行きたいっつったから行った、遊園地何か、怖がりな癖にお化け屋敷に何て入るから、手前は泣いたよな。
其の後、観覧車乗ったら窓にペッタリ張り付いて、ずっと外見て、楽しそうだったなァ。
洋服なんかにも興味津々で、新しい服を買う度に似合うかって聞いて来て・・・、まあ、確かに全部似合ってたけどよ。
今でも、身嗜みには気配ってるよな、其処だけは、変わん無ェし・・・

何て、云っても分かン無ェよな、琴羽・・
・・・。











太宰 side

この子は何も、二ヶ月前、行方不明から見つかった時から彼女にはそれ以降の記憶が全て無くなっていた。
心底厭だったが、中也の慰め役を任された自分は、中也が酔い潰れた後、少しだけ談話していた。

太宰「君、名前は?」

火針「あ、えと・・・、火針。」

吃ついた声でそう告げた所、其れは本名では無さそうだった。
誕生日も、自分の血液型も覚えているのだから、自分の名前を忘れているとは考えにくかった。

太宰「へェ、火針ちゃん。」

火針「・・・君は?」

太宰「私は太宰、太宰治だよ。」

火針「ふぅん・・・」

至極詰まらなそうだったが、彼女の纏う雰囲気が、何やら自分と同じ様な気がした。

太宰「君は死にたい、何て思った事、有るかい?」

見開いた目で此方を見ては

火針「・・・今、死にたい、と呆然に感じていた所。」

と、端的に答えた。
矢張り、予感は的中していた。

太宰「実は私も死にたくてね。何度も繰り返しているんだが、一向に死ねそうに無くてね・・・」

大概、こんな云い方をすると、ドン引きしたり、避けたがる。だが、彼女は「可哀想だ」と云った。自分もそんな事を云われるのは不馴れで、少しの間の後、そうかい、何て適当に返して、お酒を口にした

火針「太宰は、此の・・・中也、だっけ?知り合い?」

太宰「嗚呼・・・、まあ、中也とは腐れ縁なだけさ」

実際、中也はいけ好かない。というか大嫌いだ。

火針「へェ、腐れ縁。そんな昔の仲なんだな。」

君は昔を知らないからそう云えるんだよ、まあ、知っていても、今の状態では意味がないけれど。

火針「私は・・・どうでも佳い。だけど、苦しいのと、痛いのだけは絶対に嫌だ。」

・・・不思議な事に、彼女とは話が合った。

太宰「分かるかい!?本当、痛いのも苦しいのも嫌だ。楽に死ねれば佳いのに、中々そうもいかないのだよ・・・」

太宰/火針「後は色女/色男。」


・・・今日日、此処まで話の合う者は居ないだろう、後にも、先にも。
だから、今の彼女は君に勿体無いよ、中也。早くしないと、私が彼女を連れて・・・・・・












・・・なァんてね・・・・・・・・・・・・。