第5話

あれからというもの
・・・あれから、数日が経った。
物憂げに放たれた中也の言葉が気掛かりではあったが、矢張り、自殺未遂などを止められずにいる。
何故自分が其処まで死を追い求めるのか、自分でも分かりやしない。けれど、本当に、心底。嫌いなのだ、生きる事が。
此の間、彼は"手前は忘れてるだろうがよ"と云っていた。
・・・記憶喪失?何て考えてみるが、矢張り、考えにくい噺だ。

火針「・・・嗚呼、もう、どうだって佳い。」

カッターの刃を自分の動脈に向けた。

火針「左様なら、自分。」

忘れた侭だって、別に、己には関係ない。


ビッ…


腕に、赤い血が流れない。何故なら

中也「・・・何してやがる」

彼が、又止めに入ったからである。

中也「俺、あれ程云ったよなァ・・・?なのに、どうして分かってくれやし無ェんだよ・・・何で手前は何時も、そう・・・」

ポタ、ポタ、と、涙が流れる

中也「毎度、死のうとするンだよ・・・」

其の涙を見ていると、何だか自分まで悲しくなってきて、自分迄泣いて、カッターを落とすと、彼をギュウと抱き締めてしまって、そしたら、彼も、私をギュウと抱き締めて、自分らしくも無く、「御免、御免」等と、口が勝手にほざくのだ。其の言葉に返事が出来ない程彼は傷心している様で、ずっと嗚咽が自分の耳をつんざいていた。

こんな、此の前、彼に吐き出した言葉の様に、罪悪感を感じぬものと思って、何度も自殺を繰り返したのに、今回は途方も無い程の苦しさと、喪失感に襲われて、辛くて、心臓に針が刺さっているかの様に痛くって。
どうしてこんなに悲しいんだろう、どうしてこんなに辛いんだろう。
誰かなら、そうだ、太宰に聞けば分かるだろうか、屹度彼なら分かるだろう。
彼の云う事は百発百中当たる、ならば彼を頼るのも当然だろう。
どうして自分はこんなに泣いているんだろうか。昔から、自分はそんなに泣かない子供だったのに。自分はこんなに弱い者だっただろうか

中也「もうやらないでくれ、二度としないでくれ」


そんな、虚しい声が、自分に刺さる。
其れでも、其れでもだ。
其の〝死〟と云う、最後の希望の様に感じる其の言葉が、未だ私を死へと誘う。

火針「どうして、此処まで死を求めるのだろうか」

自問自答を繰り返す日々、もうそろそろ、ゲシュタルト崩壊でも起きるだろうか?起きないなら起きないで佳いが、というか寧ろそんな生き地獄を味わうなら狂った侭死んだ方が未だマシか?

火針「嗚呼、分からない。」
















本当に、自分が、分からなくなってきた