明るい場所に慣れてきた目を少し擦って辺りを見回す。




さっき来た時から感じていた。

この、なんとも言えない緊張感がある広間。








鳥居のようなものに、社のような建物。




それに…あの神社にある鈴まで取り付けられていた。

言葉が出てこなかったのには理由がある。



狐の隣。





隣に、猫のようなシルエットが見えたからだ。


さっきまでは見えなかったのに。

この猫どこがで見たことがある。




…と、考える隙もなく思い出した。

まるで｢せいかい！｣なんておどけて見せているような鳴き方。









今日学校で膝を貸した猫だった。








しかも驚くべきはこれだけじゃない。

その猫の頭には眼鏡がかけられていた。



月の光にキラキラと反射している。










てか、なんで猫が眼鏡？

おかしいんじゃないの？

と、2匹が同時で鳴きだし私が小さく呟いた辺りだろうか。









なぜだか辺りが白い煙で包まれ始め、最終的にもう何が何だか。




目の前は真っ白、右も左も見えるのはみんな真っ白。




でもなんか動いたら危ないし、

なぜだか煙くもないので目も閉じないし、

とは言ってもさすがに突っ立ってるのもおかしいだろう

私はしゃがんで足元にあった砂利に手をつけた。

もはやパニック状態。



私の口からは｢怖い怖い、｣か｢なになになに、｣しか出てこない。

さすがに私が大声を出し始めたところで煙が薄くなっていくのがわかった。





それと同時に誰かの笑い声のようなものが聞こえる。


低くて、落ち着いた笑い声。






でもそれはどこかバカにしているような笑い方だった。

取り敢えず砂利を掴んで目の前だが後ろだかにぽんぽん投げて威嚇？みたいな。






するとまた、コツリという音が聞こえてくる。


何か当たった。






それだけで自分が強くなったような気がしてそこにまた砂利を沢山投げた。




コツコツコツコツ、やっぱり音が鳴る。




極めつけに一番ゴツっとしてる砂利を思い切り投げる。




こつ、こつこつこつ…

煙が薄くなり、それが段々と見えていく。









白と黒の着物のようなものを着た男。



背後にはもふもふとした大きなものがいくつも並んでいる。






極めつけには白っぽいふわふわした頭につけた狐の面と動物の耳。
















そして真っ赤に染った目が。







私を見下ろしていた。