第9話

🕯
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2022/12/17 12:51
東雲 絵名
ねぇ、ちょっといい?
東雲 あなた
……なに



学校から家に帰ってきて部屋に戻ろうとした時、私は話しかけられた







東雲 絵名
これ、彰人が駅前にあるチーズケーキ専門店で買ってきたやつなんだけど
東雲 絵名
食べなよ
東雲 あなた



差し出されたその紙袋には、チーズケーキが入っていた





東雲 絵名
私と彰人はもう食べたからあとはあんた
東雲 あなた
いらない
東雲 絵名
……は?
東雲 あなた
は?じゃなくて。いらない



私はそう言って階段を登ろうとした、が







東雲 絵名
ねぇ、その態度どうにかなんないわけ?
東雲 あなた
…なに、急に
東雲 絵名
私たち一応家族なんですけど
東雲 絵名
なんでそんなに愛想悪いわけ?
東雲 絵名
すこしは愛想良くしてみたら?
東雲 あなた
なんで?
東雲 絵名
は?
東雲 あなた
私が愛想良くしたところで何か変わる?
東雲 絵名
変わるでしょ!
私だって愛想悪い人が家にいたら嫌なんですけど!
東雲 あなた
…じゃあ出てけばいい?
いなくなればいい?
東雲 絵名
別にそこまではっ
東雲 あなた
前のお父さんもそうだったよ
東雲 あなた
そういう理由で私を簡単に捨てた
東雲 あなた
だったら消えた方がいいってこと?
東雲 あなた
やっぱり、そういうものなんだね
東雲 絵名
待ちなさいよ!





手首を掴んでくるその人を私は振り払った







東雲 あなた
もう二度と話しかけてこないで
東雲 絵名
っ……!







家族だとか、友達だとか、そんなの何かの情で成り立っているとか言うけど私はそう思わない




もしそうだったら私はこんな思いなんてしていない





家族も友人も全部言葉遊び







そこに情なんてない









私はスマホと財布を持って家を出た






さっきまで快晴だった空はどんよりと厚い雲がおおっている






今にも降り出してしまいそうな天候のなか、私は街に出た








東雲 あなた
何で…私はいつも……





生きるのが下手









周りの顔色を、空気を読むのが







周りに合わせるのが










愛想を良くするのが










ぽつぽつと少し降り出してきた雨は、私の制服を濡らしていく






紺色のブレザーはだんだん黒く重くなっていき、青色のスカートもだんだんと色が濃くなっていく










東雲 あなた






スクランブル交差点には、色とりどりの傘が散らばっている






視線が私に突き刺さる






「 あの子傘さしてないの可哀想笑笑」
「傘入れてあげろよお前ー笑笑」






そんな声がきこえる








うるさい







うるさいなぁ









東雲 あなた








「 そんな愛想悪いやついて欲しくないんだけど! 」










東雲 あなた
そんなの私が1番わかってる…!
⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀
おや?
東雲 あなた
!!





体にうち続けられていた冷たい雨は、無くなって




私の体を包み込んだ透明なビニール傘






神代 類
やぁ、君が噂の転校生君だね






自分が濡れていることも構わずに傘を差し出してきた男は






ニコッとわらい、私を転校生君だと言った










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