ずっと扉を見ていた。寝ている東さんを横に。ふと暇になり、眠る気も起きず東さんを見る。
その瞬間だった。いや、その瞬間目撃した。
東さんはといえば、ベストは完全に脱ぎ捨てて現在シャツのボタンを下ろし下着を露出させてる最中だった。ちなみに何も考えず寝っ転がってるおかげでスカートはめくれてるが、見せパンのおかげで隠されている。
まるで酒を飲んだ時かのようなテンションで声色を高くしてくる。
触れづらいんだよ本当に
そういえば東さん家では裸族だからそういう精神なのか。そこまではいいとして寝起きも悪いし…………今のは寝言?でも会話してるし、寝起きみたいなもんなのか?
よし、この方法はなるべく使いたくないし東さんの黒歴史が増えるのはわかってるのだが……これはもう我に帰らせるしかない。
モーニングコールの時も家に言った時も使った方法。そう。
こう言うとだいたい東さんはしばらく沈黙になったあと顔を赤面させるのだ。さぁ、どうだ……?
やばい、その時より頭が回ってないらしい。
あとは祈るばかりだ。
な…………にいってんのかな??東さんは。
このタイミングで寝た…………だと…
起きる様子がない…………っ
返事がないただの屍のようだ。畜生。
東さんの寝顔はやはり可愛らしくて……あれこれ最近考えた気がする。
ともかく、下着が見えたままというのは問題がある。先生が来ても問題になるし、万が一このまま俺までもが眠って閉まったら見つかった時大変だ。
起きた東さんにあらぬ誤解をされるかもしれない。
申し訳ないと思いながら手を伸ばす。ただボタンを閉めるだけだと思いながら。
なるべく見ないようにしていたら間違って手が当たるかもしれない、かと言って凝視もしたくなくて悶えてしまう。
とにかく早くボタンを閉めて……
「ガララララ…」
ちょっと待って、状況を整理しよう。
今の俺は寝ている東さんのシャツボタンを持っている状態でありベストは何故か脱がされていて……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。