…………そんなのこっちのセリフなんだけれど。
夏祭りも終わり、見ての通り俺たちは二学期を迎えていた。
変わったことといえば……やっぱり、
東さんよく褒め言葉として受け取れるな…。
東さん…不憫だな。顔を真っ赤にしながら小山さんを止める東さんを見ながら思った。
あ、変わったのはもちろん東さんの胸の話ではなく………
小山さんがいる時坂田も逃げずにここにいることだ。今まで坂田は小山さんを避けていたのだが、特に大きな出来事があった訳でもないのに海の時で吹っ切れたらしい。
今普通に喋れるなら最初から避ける意味なかったと思うんだけどな、食わず嫌いはやめましょうか。
そんなこんなで、俺たちはいつも通りのまま二学期を迎えることになったのである。
◆◆◆
先生に頼まれ、体育館倉庫の掃除をしていた時の話だ。
まぁたくだらない理由で行動してんなぁ?
なんで東さんは先生が俺の事を狙ってると思いたいのだろうか。
ちなみに言っておくがそれは全くの誤解である。いや誤解って言い方もおこがましいほどのこじつけだ。
その頃の俺たちはまだ、考えてもいなかった。俺も、きっと東さんまでも本気で考えていなかったのだ。
本当に体育館倉庫に閉じ込められることになるなんて。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!