一応兄にあった話とか、あの後怒られなかったとかを聞きたくて。かと言ってクラスメイトの前で言うのとは違うと思い朝一番聞いてみたのだが…
なるほど、自分が脱ぎ始めたり色んなことを言っていた記憶があるらしい。これは昨日のことを掘り返すのはやめた方が良さそうだ。
緊張からか昨日の黒歴史を掘り返しているのか東さんは顔を真っ赤にしたまま何も言ってこなくなってしまった。
今までくだらない事だとしても話題は東さんが降ってくれて気まずい時間というのがなかったのに甘えていた部分もあり、沈黙が気まずい。
こういう時気を聞かせ話題をすぐ思いつかせればいいのだが、東さんのように上手く出来なくて差を思い知る。
「月とすっぽん」なんて思い出さなくてもいいような言葉でさえ思い出していまう。
そう焦るほど、話題は出てこない。横をちらっと見ると茹でダコのような色の顔が見えて、そのまま気まずい空気を過ごしていた…………
◆◆◆
昼休みになっても東さんは真っ赤な顔を隠すだけだった。
何を言っているんだ東さん。
東さんはいっぱいいっぱいらしい。
東さんがパニックになり悶えてる間落ちている手帳をとる。内容を見るつもりは無かったのだが、反対にしてつい見えてしまった。
『
【話題リスト】
《困った時》
好きな漫画・映画などの布教(伝えたいこといっぱいだから沢山話せる・あらすじなど長いのでまぁまぁ喋れる)
《ショート》
○前頭痛が酷かった時の話
変な夢見た話(○ケーキのやつ・りんごのやつ・コップ・○しおり・バイ菌)
歯磨きしてた時の話
妹の話(冷蔵庫の時のやつ)
雑学(○バターは元々塗り薬だった!・)
チョコミントの話
子供の頃の話(隣の家の人・幼稚園の先生のオリジナルソング・ちょこちょこおじさんの話)
』
東さんの特徴的な文字でそんな事が書かれている。○は話したことのある話で、区切りがされていて他にも何個も話題が書かれている。
俺に目も合わせてくれない。もっと重症化してしまったらしい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!