飯田𝓈𝒾𝒹𝑒.°
轟「なりてぇもんちゃんと見ろ!!」
飯田「_________!」
なにがヒーローだ……。
友に守られ、血を流させ……。
ヒーロー殺しステイン。
やつに罪を思い知らせんがために、僕は兄の名を使った。
目の前のことだけ……自分の事だけしか見えちゃいない!!
『天哉が憧れるっつー事は俺、すげぇヒーローなのかもなっ。ははははっ、』
俺の……なりたい、ヒーローは……。
お前の言う通りだ。
ヒーロー殺し……。
僕は彼らと違う。
未熟者だ。
足元にも及ばない!
それでも_______。
力の入りきらないその拳に、無理やり精神を集中させた。
緑谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°
ステイン「言われた事はないか。個性にかまけ、挙動が大雑把だと!!」
ステインの刀が、轟くんの腕に当たる寸前。
緑谷「轟くん!!」
飯田「レシプロ……バースト!!!」
!!!
飯田くん、ステインの個性の効果が切れたのか……!
ギリギリの所で飯田くんの蹴りが命中して、ヒーロー殺しは後ずさった。
……まだ、まだ動けない……!!
轟くんを狙った小刀が、それを庇った飯田くんの腕に命中した。
飯田「早く!!」
足を凍らせるようにお願いした飯田くんに、轟くんが氷を出す。
緑谷「……まずい!!!」
最初に倒れていたネイティブさんに向かって、刀が空中から振り下ろされる。
轟「_______、!」
間に合わな______、
キーーーッッン、
緑谷「…………え、」
ステイン「……!?"百々あなた"……」
あなた「やっと見つかった……!!」
肩で呼吸をするあなたが、ネイティブさんを庇うようにそこに立った。
あなた「なにこの状況……、飯田くん!?いずくんも!?」
そっか、職場体験が轟くんと一緒だから……!
あなたも居れば現状が大分変わるぞ……!
あなた「_______ぅ、」
しかし同時に、あなたは頭を抑えてよろけて体制を崩した。
なんとか倒れずに踏みとどまったその左脚に、ヒーロー殺しの小刀が突き刺さる。
あなた「ぅあ……っ、」
轟「あなた!!!!」
まずい……、!動け、動け僕の足……!!!
轟くんが離れた所から氷を出し、あなたとヒーロー殺しの間に壁を作った。
即座に立ち上がったあなたは、ネイティブさんを軽々と持ち上げて後方へ下がる。
まだ体調が優れないのか……!?
明らかに様子がおかしい。
緑谷「……!!血が……!」
ヒーロー殺しの手元には、最初にあなたが弾き飛ばした刀があった。
僕が最初に舐められたくらいの血がしっかりと付いている。
ステイン「…………お前は、殺さない」
ペロ と、その長い舌で舐められた直後、あなたの体が前のめりに倒れた。
あなた「ぅ……なに、これ……動かな、」
緑谷「やつの個性だ……!あなた血液型は!?」
あなた「……?B……だけど、」
ステイン「(都合がいい。最後までそこで止まっておいてもらおう)」
※ ステインの個性はO<A<AB<Bの順で拘束できる時間が増えます
壁を伝ってヒーロー殺しが飯田くんの方へと攻撃を仕掛けにいく。
緑谷「……!!動いた!」
行けるか……いいや、今は……!
下から飯田くん、サイドから僕が、それぞれ足と拳を振りかぶる。
渾身の一撃は、ヒーロー殺しに綺麗に決まった。
轟「チャンスだ!!」
ヒーロー殺しは一度気絶しかけたように見えたが、すぐにその目を開いて飯田くんに斬りかかる。
寸前で避けた飯田くんは、また脚を振りかぶる。
飯田「お前を倒そう!今度は犯罪者として___」
轟「たたみかけろ!!」
飯田「ヒーローとして……!!!!」
ドゴォッ、
飯田くんの蹴りが腹に入り、横向きでモロに喰らったヒーロー殺しを炎が包む。
次いで突き上げた氷が襲い、僕と飯田くんはそこを転がり落ちるように地面へついた。
ドサッ、
緑谷「……!?あなた!!?」
あなた「あんな高さから落ちて……怪我せんわけがないでしょうが!」
え……、なんで動けてるんだ!?
轟「立て!奴はまだ_______、」
轟くんに言われて、落っこちた僕と飯田くんを抱きかかえて受け止めてくれたあなたから目を離してヒーロー殺しを見上げた。
そこには、ピクリとも動かないヒーロー殺しの姿があった。
緑谷「……流石に気絶してる……ぽい、」
轟「はぁ……じゃあ拘束して通りに出よう。何か縛れるもんは……」
あなた「ゴミ箱漁れば出てくるんじゃないかな」
緑谷「え、ていうかなんであなたは動けて……」
轟「あいつが気絶したからじゃねぇか?」
あなた「や……回復でなんかいけたっ」
ニコッと笑って、足に突き刺さったままのナイフを抜いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!