「僕は、オールマイトじゃありません」
トイレに行こうと歩いていた廊下の先から、いずくんの話し声が聞こえて顔を覗かせた。
そこには巨体の男の人がいて。
?「そんなことは当たり前_____」
緑谷「当たり前の事ですよね……。轟くんも、貴方じゃないっ」
……轟、くん?
聞き耳を立てていると、こっちに向かってきた巨体な人と目があった。
?「……君か。手間が省けたよ」
誰……?
関係者……?
あなた「…………えっと、」
?「?私の事を知らないのか……。"エンデヴァー"と言ったら、分かるかい?」
……やっべ、分かんねぇ。
エンデヴァー「……ヒーロー志望じゃないのか?まぁ、いい。轟焦凍の父……と言った方が分かるな?」
あなた「……えっ、轟くんの!?」
ごめんなさいお義父さん……貴方の息子さんの唇奪っちゃいました。
頭の中で変な謝罪をしながら、顔を見る。
……似てない。
エンデヴァー「君の個性、見させてもらったよ……。中々良いものを持っている。オールマイトを彷彿としたよ」
あなた「……えへへ、よく言われますっ」
とりあえず愛想笑いを作ると、拍子抜けしたような顔をして微笑した。
エンデヴァー「君が次勝てば、焦凍と当たるね」
あなた「轟くんがいずくんに勝てば、ですけどねっ」
エンデヴァー「勝つさ。そうでなれければオールマイトを越せる訳がない……。そして君にも。今はくだらない反抗期だが、あいつは俺の野望を_____」
あなた「轟くんは」
エンデヴァー「……?」
あなた「轟くんは、強いです。私も良く知っています。反抗期とかはよく分からないけど……、でも、それは貴方に問題があるんじゃないですか?」
エンデヴァー「何を______」
あなた「両親の居ない私にも……いや、居ないからこそ、分かるんです。自分の事を見てくれる親の存在が……いかに大切で尊いものか。貴方が見ているのは……轟くんであって轟くんじゃない」
エンデヴァー「……(親の居ない……?)」
あなた「試合見たいんで、失礼します」
これ以上はあの炎炎としている炎で焼かれそうだったので口をつぐんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!