第207話

友達のカタチ.°
2,829
2022/06/05 12:00
芦戸𝓈𝒾𝒹𝑒.°







ちょっと待って。










轟「準備出来たか?」


あなた「うん、行こっか!」











麗日「……アレって、そういう、事?」


葉隠「昨日告白したんだろうなとは思ってたけど……アレ見る感じ、結果は……!」














違う。




だって、あなたの本当の好きな人は……、








私は知ってる。







あの日、涙ながらに……苦しそうに、それでも好きだと、はっきり聞いた。









芦戸「爆豪!!どういう事アレ!昨日行ったんじゃないの!?」









呑気にご飯なんて食べてる爆豪に問い詰めたら、キッと睨まれた。










爆豪「何のことだ。うっせぇな。」


芦戸「あなたと轟だよ!!あれってどっからどー見ても……、」


爆豪「付き合ってんだろ。」


芦戸「はぁ!!?」











何それ、全く理解できない。






轟も、爆豪も、あなたの事が好きで。






だけど……あなたの好きな人は爆豪だから、











芦戸「おかしいって……!!」


爆豪「あ"ぁ!?"おかしい"もクソもねェだろ。ほくろ野郎が自分から好きっつってんだよ。」


芦戸「そんな訳ないでしょ!!」










どういう事……!?






昨日の夜、何があったのか。







あなたにちゃんと、聞かないと……。




















芦戸「え、あなた帰るの!?」








昼休みになった途端、カバンに荷物を詰め始めたあなた。








あなた「あ、今日チームアップに呼ばれててさ!午後は公欠っ。」










そっか……あなたは、もう私たちとは違って、随分先に進んでいる。




実質プロヒーローみたいな物だもんね、










っじゃなくて。









芦戸「校門まで送るから!!」


あなた「え、いいよいいよっ。お昼ご飯食べて?」


芦戸「話があるの!いいからホラ!!」











無理やりに鞄を奪い取って、教室を出た。













あなた「あ、はい……はい。これから向かいます。」









何やら電話を終えて、「それで、どうしたの?」と首を傾げた。





"どうしたの"って……。









芦戸「轟との事だよ!!それしかないでしょ!」


あなた「ッえ"、もう気付いてたの……!?」








気付くも何も……。










芦戸「朝ごはん一緒に食べて一緒に登校して、授業のペアだって率先して組んで……、!何より轟のあの!!」


あなた「す、凄い……三奈ちゃん探偵だ。」


芦戸「冗談言ってる場合じゃなぁぁぁい!なんなの!?どういう事!」


あなた「その、詳しくは帰ってから説明するから……!簡単に言うと、これはお互いの為の"付き合う振り"で、」


芦戸「"振り"……?で、昨日あなたから好きって言ったの?」


あなた「え??ううん。だって振りだもん。」








爆豪の言ってたあれって、じゃあ何_______、









あなた「轟くんに、爆豪くんの事が好きだって話したの。」


芦戸「………………つまり、」










多分……いいや絶対、爆豪の言ってた"あなたから好き"っていうアレは、











芦戸「あなた!!爆豪勘違いしてるよ!?あなたから轟に告白したって……昨日爆豪、気にして共同スペースに降り立ったからその時、!」


あなた「_______うん、いいの。」


芦戸「……よく…………ない、でしょ、」











全然良くない。




だって好き同士なんだよ??






どうしてあなたは轟と付き合って、それを爆豪は受け入れて……なんで、











芦戸「なんで、好きなら……!好きなら爆豪と付き合えばいいじゃんか!」


あなた「………………、」


芦戸「見てらんないよ……私はっ、私はあなたに、ちゃんと好きな人と結ばれてほs_____、」


あなた「ありがとう。」


芦戸「…………あなた、」


あなた「でも、これ以上はやめて。」










穏やかな表情のその奥に、やるせない気持ちが見えてきた。




きっとあなたは、ひどく悩んで苦しんで、それで決めたんだって。





私の知らないあなたが、まだまだあるんだって、思って。










あなた「……これ以上は、三奈ちゃんに怒っちゃうかもだからさっ。」












ニコっと笑って、私が持ち続けていた鞄を受け取った。





何で笑うの……?





怒ってよ。






怒って、本音をぶつけてよ。






私には、言えないような事なの……?








私じゃ、ダメなの?









辛いなら相談してほしかった。






苦しい思いをしているのに、それを隠して貼り付けた笑顔なんかで……関わってほしくなかった。








私は、私はそのくらい、あなたの事_______、












芦戸「っ、」











あなたはきっと、分かってて。





だから、頭を駆け巡る言葉を何も発せずにいた私の手を引いて、ギュッと抱きしめて。








私にはそれが、友達というよりも……お母さんや、自分を守ってくれる人のように感じてしまって。





それが、なんだか哀しくて。













あなた「三奈ちゃんは、私の大好きな友達なの。だから……、」














そんな事、言われたら。










もう、何も言えないじゃんか。













あなた「いつか、絶対に話すから……待っててほしい。」














私は、あなたの友達だから。








大好きだから。







だからこそ、聞いてはいけない事とか、言ってはいけない事とか……。










そういうのがあるんだって、分かった気がした。