第145話

イレギュラーガール.°
15,825
2021/04/13 11:00
相澤先生に結果の紙を渡してから、皆が着替えや荷物のまとめをしている間に本部へと足を運んだ。




あなた「よかったですよね、轟くんたちあれで終わりじゃないって!」


相澤「不幸中の幸い……だな。というか、お前は今自分の事考えろ。」


あなた「だって何が何だか分かんないんだもん!考えるに至りません!」


相澤「……。」





頬を膨らませて豪語した私を見てため息を吐く。





相澤「まぁどちらにせよ、今から分かる事だ。お前はほんとにイレギュラーだな。」


あなた「えへ、それほどでもっ//」


相澤「半分は嫌味だ。分かれ馬鹿。」


あなた「あだっ、」






コツンッと額を小突かれて、反撃しようとしたところで本部に到着した。


相澤先生がノックすると、中から眠そうな声で「どうぞ」と聞こえてくる。





相澤「失礼します。」


あなた「失礼します……。」






下手な言動取ったら即先生に怒られそうだし、いい子演じとこう。


うん、そうしよう。




入ってすぐ、目の前のソファー席に座っていたのはさっきの眠そうな目良さん。



相変わらずのクマを一層濃くして、私たちに座るよう促した。




後ろには黒服のサングラスの人たちが3人並んでいて、コスプレかな?と呑気に考える。





目良「早速ですが……まぁ書いていた通り、キミには"特別監察対象"が認められました。担当ヒーローからの推薦の後、キミにはプロの資格が_______」


あなた「ちょ、ちょっと……!待ってください!」


目良「……なにか。」





"さっさと説明を終わらせて眠りたい"とヒシヒシと伝わってくる。



いや、こっちも何が何だか分からないんだよ。







あなた「分かんない事だらけなんですけど……!質問してもいいですか?」


目良「どうぞ、手短にお願いします。」


あなた「えっとまず、その"特別監察対象"ってなんなんですか?聞いた事ない……っていうか先生もないって、」






目良さんはキュッと眉間を指で挟んで押して、「それはですね……」と掠れた声を漏らした。


どんだけ眠いんだこの人。







目良「平和の象徴________オールマイトが引退してから、ヒーロー社会にもヴィラン側にも、不穏な動きが生まれつつあります。一刻も早く象徴たる存在を確立し、国民の安心を享受する事が最優先です……それに伴い、よりレベルの高い指導を行っていく中で優秀な芽は育てていく……乗じて実力と経験さえあれば、早急にプロヒーローへと迎え入れる……これが目的です。」






一気に話し終えた目良さんは、「他に何か……?」とあくびを堪えるような仕草を取った。


そっか……つまり増やせるものなら早めに戦力を増やしたい、と。






あなた「すみません、まだ……その、仮免の結果だけでそんなの判断していいんですか?だってこれはあくまで仮免で、プロヒーローになるには……、」


目良「"特別監察対象"______これを認められるには大きく3つの条件を満たしていることが必要です。」





私と相澤先生に向けて見えるように小さく上げた拳。


人差し指を上げて、「まず一つ目」と淡々と説明を始めた。







目良「【ヒーロー仮免許試験終了時において、生徒の点数が満点である事】キミの点数は文句なしの100点満点でした。」







聞いてない。








目良「2つ目。【本対象審査までに、対ヴィランに一定以上の功績を残している事】……こちらは仮免取得前_____すなわちプロヒーロー監督の元での個性行使も同様です。保須事件におけるキミの行動、実績は、それに充分値します。」





そして間をおいて、3本目の指を立てた。








目良「そして3つ目。【仮免取得前に、プロヒーロー2名以上からのスカウトがある事】……以上3つを満たしている事が条件となります。そしてキミは、それら全てを現時点で満たしている。」


あなた「…………ん、んぅ??……「満たしている」って……2つ目までは納得いきますけど3つ目の"スカウト"って……?」






首を傾げると、目良さんは後ろに並んでいたサングラスの男の人からホッチキスで束ねられた紙を受け取り、私たちの間のテーブルに置いた。







目良「今キミの元には、エンデヴァーを始め計37名からの指名が来ています。」


あなた「さっ、……!?と、都道府県分全部ってこと……?


相澤「都道府県は47だ補講にすんぞ。……お話は分かりました。ですがこちらも、学校としての方針もありますしまずは校長に掛け合った上で承諾を得る事が必要です。」


目良「えぇ。ですから後々ではなく、今こうして仮免後に来てもらった訳です。詳細はこちらの最後の用紙に記してあります。」


相澤「でしたら後日改めてこちらから________」










"補講"の響きが怖すぎて後半は頭に入ってこなかったけど、とりあえずなんだか大事になりそうなことだけはなんとなく分かった。

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